□ココアに溶ける内緒のキスを
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賑やかな宇宙人街。

ケロロが考えた侵略作戦の道具の買い出しに、いつもより浮き足立っていた。


「二人で出掛けるなんて、そういえば初めてだな」

「そっすね」


浮き足立つ原因は分かっている。

隣を歩く黄色い後輩。
同じ男ではあるが、俺の惚れた大事な人。


「買い出しのついでだ。どこに行きたい?」

「ラボに帰りてェ」

「……却下」


気怠そうなクルル。
俺は二人で出掛けることに喜んでいるが、クルル自身はそうでもないようで大きな欠伸さえ隠すことも悪びれることもなくしてのけた。

つられた欠伸を噛み締め、クルルに少し近寄った。


「寝てないのか?」

「いや?脳に酸素が足りてねェだけか、もしくは寒いからか、ね」

「寒いのか?」

「…さみーかもー」


言いながらぴたりと寄り添うクルルにどきりとし、僅かに触れた手を静かに握った。

冷たい手だ。俺の手の平から熱が奪われていく。

そのまま歩いているとちょうどよく自販機が見えて、クルルの手を軽く引いた。


「暖かいものでも買うか?」

「奢り?」

「まあ、飲み物くらいはな」

「飯は〜?」

「……仕方ないな、今日だけだぞ」

「ククッやりぃ」


ぴたりと、先ほどよりも密着するクルルに、ますます心拍数が上がり体温が上がる。

上機嫌になるとクルルはべたべたとくっついてくれるのだが、実はそれが狙いで甘やかすわけで。

俺から近寄るのはどうも気恥ずかしいが、クルルからなら別だ。むしろチャンスとさえ思う。

クルルからなら、遠慮なく触れ合う事が出来るのだ。

やましい考え方だが、好きな奴に触れたいと思うのは仕方ないだろう。

密着したクルルの耳元で、わざとらしく低く囁いた。


「で、何飲むんだ」

「っ!…こ……ココア」

「…貴様よくこんな甘ったるいもの飲むな」


相変わらず好みは逆だな、とぼんやり思いながらココアを買い、クルルへと手渡す。


「あちっ」

「うぉっ」


ココアに触れて直ぐ。
クルルが熱さに滑り落としそうになったのを何とか取り、もう一度クルルに差し出した。


「大丈夫か?」

「………あー、あんた手の皮厚いから」

「は?」

「熱すぎて触れねえ。冷まして」

「ヌルくなったら不味くなるだろうが」

「……じゃあ…」


クルルが、開いてる片手を俺の肩に置きそのまま距離を縮め、0距離を取る。

カッと熱くなってクルルを見れば、やわらかく笑った。


「口移し、してくれよ?」

「…なっ、なっ!?」

「ん」

「ばっ!?ばかもんっ、外だぞここはっ」

「戻る頃にはココア冷めちまう」

「だ、だがな、お前…っ」

「クク……ギロロせんぱい?」

「うっ…!!」


甘えられるのは嬉しい。
触れ合えるのも嬉しい。

だがそれは、二人の時だから触れるわけだからいいのであって、こんな、誰かに見られているかもしれない場所で。

それでもこのチャンスを逃したら、俺は後悔するような気がした。


クルルの手を引き、出来るだけ人目に付かなそうな路地裏に連れ込む。

プルタブを開けココアを一口含み、クルルに押し付けた。


「んっ、ふ…」


熱いココアがクルルに移り、クルルの口の端からココアが垂れた。


「……くく、上出来」

「まだあるぞ」

「じゃあちょうだい」


クルルにキスをし、もう一度ココアを口に含む。


そうしてココアが空になる頃には、クルルはすっかり力が抜けていた。

















「あっ、おかえりー。遅かったじゃん。どう、いいの買えた?」

「あっ」

「え」

「くっくっく」

「えっ、ちょ、何しに行ったのよチミたちッ!?」




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