□愛を分かち合えなかった二人
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 クルルは目を閉じて手を合わせた。他に誰も側にいない。

 手を合わせるクルルの目の前には、小さな墓が立っている。



 ケロン星のとある場所に、その黄色いケロン人は居た。
 複数の産まれ出てこなかった子供たちが眠るそこは、いわゆる墓地である。



 ――あの日、産まれなかった大切な命。

 その命を供養し、クルルは墓をたてたのである。

 この事は小隊、もちろん子供にとっての片親であるギロロにも内緒で、クルルは一人墓の前に居た。

 墓の前に置かれたミルク、クルルの好物のカレー、ギロロの好きな芋。申し訳程度にそれを置いたクルルは、次に来れる日を計算しながら墓を撫でてその場を後にした。


 タマゴを見られたあの日から、ギロロは随分とクルルに甘くなっていた。
 無理矢理冷たい床に組み敷かれることはもう無かったし、抱かれるときは優しくキスをされてから、暖かい布団の上で声をかけられながら今までより長く行われるようになったのだ。

 初めのうちはクルルも驚いたし戸惑ったが、しばらく続くと慣れたもので、最中にかけられるギロロの言葉に返事を返す余裕も出来た。

 勿論行為事態に不満はない。むしろクルルにとってはギロロとそういう行為が出来ることが嬉しいと思う。
 ただ、頻度が前に比べて少し多いのだ。今までは機嫌が悪いとか夏美と何かあったとか、理由があっての行為、要はストレス発散の為に行われていた行為である。

 それが今では何の理由もなく、ギロロの気分次第なのだろうが連日連夜続くこともあった。

 この変化には少し不安も抱く。

 こうした行為をする原因が分からなければ、理由がなければ。

 気持ちを寄せるクルルは、ギロロに期待をしてしまうのである。









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