詩・短編

□曖昧な境界線
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夢から覚めたんじゃない。


その逆。


幸せな現実から悪夢の中に落とされただけ。


大丈夫。そのうち目覚める。そしたら抱き締めてくれる。


だから、早く起こして。


嫌な学校。大嫌いな人々。


これは夢。


だってその証に、ぼんやりと灰色に曇って見えるもの。


悲しいも悔しいも感じないもの。


ただ重苦しくて、呼吸がしづらくて、不安定で。


だから、早く君のいる現実に連れ戻してよ。


君のそばなら嬉しいも幸せも感じる。


ああ、私は生きてるんだって思える。


呼吸も心拍も止めようとは思わない。


血も傷も見たいとは思わない。


君のそばにいるときだけ、普通になれるから。



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