宝物

□Happy Birthday
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誕生日ってのは、誰にとっても嬉しいよね。生きてて良かったって思うんだ。


「Happy Birthday」


「陽向!誕生日おめでとう!」

「ありがとう楓。」

俺の目の前には楓手作りの、バースデーケーキ。


いい兄を持ったもんだ。

といっても本当の兄弟ではないが。


俺の母は、俺が産まれてすぐに亡くなり、父も、俺が三歳の頃に過労で亡くなった。

そして従兄弟である楓の家に引き取られたのだ。



「陽向、プレゼント何がいい?」


意気揚々と楓が聞いてくる。


ほんとは新しい携帯が欲しいけど、明日友達と機種変しに行くし。


「うーん。特に無いかなぁ。」


楓がしょんぼりとした顔をしている。


さて困った。どうしようか。


「あ。」
「何々?」

楓が目をきらきらさせて言った。


「じゃあ、楓がいい。」


間。


「えぇっ!?」


異様な反応だよね。これ。


「俺の15回目の誕生日プレゼントは、楓がいい。」

「でも…俺で…何…すんの?」

顔を赤らめている。


「バカッ。んなエロいことしねぇよ!」


もう、このバカは…。


「今日と明日、俺に付き合ってくれればいい。」
「でも明日は友達と携帯機種変に行くんでしょ?」




「断る。楓と一緒に買い物に行きたいの。楓と一緒の携帯にしたいし。」




俺がそう言うと、楓は微笑んだ。


「しょうがないなぁ!付き合ってあげるよ!」


二人は微笑み合った。


「さ、ケーキ食おう!」

「うん。」


こうして、俺の15回目の誕生日は過ぎて行ったのだ。


ーfinー

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