詩・短編

□最後に1つ、精一杯の強がりを
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全てを見透し包み込むような、そんな優しい目が好きだった。


器用に何でもこなして、それでも気取ることはなくて


誰かを咎めることを嫌い、高貴で透明な精神で


いつだって、僕の憧れだった。


僕の、僕だけの兄様。


常に僕の世界の中心だった人。


兄様が呼ぶから僕の名前に価値があったんだ。


兄様が側に居るから僕は存在することが出来たんだ。


それなのに、それなのに


「婚約が決まったんだ。喜んでくれるよね」


僕の前から消えてしまうの?



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