詩・短編

□闇に溶けて消える
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闇に包まれる朔の夜。

月が出ないだけでこんなに暗いものなのか、なんて

ふと貴方のことが気に掛かった。



例えば星や月が出てくれているなら、遠くにいる貴方も同じ景色を見ているのかしら、なんて女々しい想像をすることが出来る。

けれど、世界に空いた穴のような暗闇には貴方と私を繋ぐものが見出だせない。

どんなに気丈な娘を装ったって、時の流れに呑み込まれたって、いつも心の奥には寂しさが蔓延っていて

せめてもう一度会えるのなら、他には何もいらないというのに。

こんな夜には縋るように名前を呼んでも届かないのでしょう。



もう二度と現世での逢瀬が叶わぬのならば、何年も先に生まれ変わって

平和な世界で貴方を戦に送り出すこともなく、慎ましく暮らしてゆきたい。

だから、今は眠りましょうか。

長く、長く、いつか遠くの先まで、貴方に会えるその時まで。




闇に溶けて消える

(次に目覚めた時には、側にいて)



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