家庭教師ヒットマンREBORN!

□山籠り
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ガキィン

ヒュン

「…んじゃ、今日はこんくらいで終わりにしとくか」
山間で修行していた最中、ディーノは唐突にそう告げた。
鞭を握る手の動きを止め、正面にいる人物の目を見る。
「なに勝手なこと言ってるの。僕はまだやれる」
目と同じ色の、漆黒の髪を揺らし、トンファーを巧みに操る少年。
雲雀恭弥。
ディーノの一番弟子であり“愛”弟子(ここ重要)。
ひねくれ者で、気分屋で。
並盛を愛する不良のボスで根っからの戦闘マニア。
「だめだ。『目一杯闘って、目一杯休む』って言っただろ?ちゃんと守れよ」
謎だらけの不思議な人間で、師匠であるディーノにさえ自分の素性を明かすことのないその徹底ぶりには、妙なモノも感じるが。
「他人の言うことなんて、どうでもいい」
「…他人って……」
「だって僕らに血の繋がりはないでしょう?」
「まあ事実上はそうだけどよ…ほら、あれだ。俺と恭弥は赤い糸で強く結ばれてるし─」
「そんな気色の悪いことを言うのはこの口かな?」
ぐりぐり、とトンファーを頬に食い込ませる雲雀。
いてえじゃねえか!とトンファーを払いのけるディーノは、なぜか笑顔で。
「そーやってすぐ殴りかかってくる癖、直せよ?」
「ふん、余計なお世話だよ」

終わったはずの“授業”が、こうして再開した。


バキッ

シュルルッ

両者激しい戦闘の最中、

「恭弥には見えねえのか…」

と、真顔でため息混じりにそう呟いたディーノの言葉に雲雀は恐怖を覚えた。


(とうとう幻覚まで見えるようになったのか…!)
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