詩もどき
□ふたり
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二人きりなんて言わないわ
此処に在るのは一人きりが二つ
決して二人なんかじゃあないの
此処に居るのは一人と一人
此処に心音は二つ響くけれど
一つ一つが違う音
こんなにも近くに居るけれど
どちらも違う所を見ているわ
交わることの無い視線は
何処へ行き着くのかしら
行き場を無くした声はくぐもり
出口を探して巡り出す
触れることの無い唇は
唯大気と口付けを交わし
絡ませようとした指先は
弧を描いて地に伏せる
貴方の瞳に私は居ない
蜃気楼でも見ているのかしら
何時か望んだあの夢に
私がするのは懺悔だけ
end.