大体置き場。

□それは口実で、
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「それは、おれのキスに感じてくれてるって事だろう? それに、可愛いお前の更に可愛い所が見れてる訳だしな」
「なっ……か……っ!」

 元から赤かった四月一日の顔は、告げられた言葉で更に赤くなる。
 四月一日は暫く顔を赤くして黙り込んでいたが、やがて口を開く。

「あ、あの……さ」
「ん?」

 百目鬼は、一旦言葉を切った四月一日に、優しく聞き返す。

「おれ……、百目鬼とキスしたくないなんて、そんな事、ないから」
「四月一日……」
「おれ、百目鬼とキスすんの、……好き、だから。だから……」

 四月一日は顔を上げ、百目鬼と目を合わせて、言った。

「口実なんて、要らないから」
「あぁ」
「し、したい時にキスして」
「解った」

 そして、何を思ったのか四月一日は、百目鬼の肩に手を掛けた。
 百目鬼は、四月一日が何をしようとしているのか解らなかったが、四月一日の成すがままにされている。
 段々と、四月一日の顔が百目鬼の顔に近づいて来る。
 そして、二人の唇が重なった。
 四月一日の唇は、百目鬼の唇の上に少し留まると、離れて行った。

「誤解させる様な事してて、ごめんね……」
「良い。気にするな」
「うん……」

 百目鬼は、謝った四月一日の頭を撫でて言った。
 そして、四月一日の唇にそっと口付ける。
 四月一日は、静かに目を閉じた。

「ん……んんっ」

 最初は触れるだけだったキスは、段々と深くなる。
 やがて、百目鬼の舌が四月一日の口内に入り込み、四月一日のそれを絡め取り、吸い上げた。

「んぁ……ふ」

 百目鬼の唇が離れると、四月一日は閉じていた眼を薄く開く。
 二人は、離れた舌の代わりに、熱っぽい視線を絡め合わせた。
 甘く、少し荒い吐息を吐き出して、四月一日はくてん、と百目鬼の胸に身体を預け、その身体を百目鬼が軽く抱きしめる。

「四月一日……」
「ふぁっ……」

 耳許で、甘く掠れた声に名前を呼ばれ、四月一日の身体からは力が抜けて行った。

「お前が、欲しい」
「ど……めき……」
「良いか……?」
「い、良い、よ……」

 その応えを聞くや否や、百目鬼は四月一日の身体を抱き上げ、敷いて有った布団へ向かう。
 そして、四月一日の身体を布団へ降ろした。
 自分もその上へ覆い被さり、四月一日に口付けて、囁く。

「四月一日が好きだ」
「ん……おれも、だよ、百目鬼。好き……」

 そしてそのまま、二人は身体を重ねた。
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