大体置き場。
□それは口実で、
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* * * * *
情事後。
百目鬼は、布団の中で四月一日の身体を抱き締めつつ、腰を労る様に擦って(さすって)やっていた。
「大丈夫か?」
「ん……腰は痛いけど……大丈夫……」
果たしてそれは大丈夫と言えるのだろうか。
百目鬼はそう思ったが、飽くまで本人が大丈夫と言い張るので、大丈夫と言う事で取り敢えず結論を落ち着けていた。
「……そう言えば四月一日」
「何(なぁに)?」
「おれがリップクリーム塗ろうとしてたの、良く解ったな」
「え?」
「あの時おれ、リップクリーム持ってた手下に降ろしてたから、見てねぇだろ」
「え、や、あ、そ、れはっ……!」
「もしかして、お前」
やけに顔を赤くし狼狽える四月一日の様子に、百目鬼はピンと来た様だ。
ニヤニヤしながら、問う。
「おれの事、ずっと見てたのか?」
四月一日は、顔所か耳や首まで真っ赤にして、コクン、と頷いた。
そんな四月一日の耳許で、百目鬼は甘く囁く。
「矢っ張りお前、可愛いな」
それに対して、四月一日は。
「……百目鬼は、格好いいよ……」
四月一日はそう告げると、百目鬼の身体にしがみ付く様に抱き着いた。
百目鬼は、暫し驚いた表情をしていたが、やがて四月一日の耳許に再び唇を寄せる。
「愛してる、四月一日」
そして四月一日もまた。
「ん……。おれも、愛してるよ……百目鬼」
二人の唇は、ごく自然に重なった。
そして、重ねた唇を名残惜しそうに離した百目鬼と四月一日は、しっかりと抱き合い、心地良い眠りへと引き込まれて行った。
finish.