大体置き場。
□百四五連作
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「信じらんねぇ……」
眼鏡を掛け、制服を着た少年、四月一日君尋は、自分が通っている高校の校舎内に有る階段に腰掛けていた。いつも通り其処で、自分が作った弁当を食べる為で有る。
ただ、今の四月一日は、頭を抱えて唸っていた。その原因は、最近行動を共にする事が増えた(多くなった)、百目鬼静だ。
ひまわりは、何か用が有るとか言う事で一緒に食べられないとの事。
因って、必然的に四月一日と百目鬼は二人で食べる事になる。なるのだが。
「選りにも選って、昨日の今日……!」
――四月一日は昨夜、百目鬼に関して自覚した事が一つ有る。
それは、自分が百目鬼に対し、恋愛感情を抱いていると言う事。
そんな、とんでもない事を(うっかり)自覚してしまった次の日に、行き成り二人切りで弁当を食べる等と言う状況に陥れば、頭も抱えたくなると言う物で有る。
パニックに限りなく近い四月一日は、パニックに近いながらも兎に角気を紛らわす為に、別の事を考える事にした。
(し、深呼吸深呼吸……)
取り敢えず、心を落ち着ける。
そして、何とはなしに頭に浮かんだのは、一人の少女、九軒ひまわり。
百目鬼を好きだと自覚する前――詰まり昨日――まで、四月一日はひまわりの事が好きだった。だが、以前は恋愛感情で有ったその「好き」と言う想いは、「百目鬼が好きだ」と自覚した今では、別の感情に変化している。
ただ、その「好き」がどんな「好き」なのか、四月一日には解らないでいた。
(うーん……前は確かに恋の好きだったんだけど、今は……)
「……友達とか、親友とか? あ、寧ろ家族とか、みたいな?」
思い浮かんだ自分の気持ちに関する考えを確かめる様に呟くと、丁度その瞬間に――。