大体置き場。

□「きみのてでころして」
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 ファイの携帯電話が音を立てた。
 流れたメロディーは黒鋼限定に設定したもので、いつもならこの音を聞けば喜んで電話に出る。
 だが、今日のファイは、その電話に触れようとすらしなかった。

(出たくないよ……どうせ、あの話だもの……)

 やがて、留守録機能に切り替わったのか携帯電話の音は止まるが、今度は暫くして家の電話が鳴り出す。
 今度は留守電設定をしていないのでいつまでも音が鳴り響き、煩さに耐え切れなくなったファイは遂に電話に出た。

「…………もしもし」
『黒鋼だ』
「うん、声で解る」
『携帯にかけて出なかったからこっちにかけた』
「……そう」
『話があるんだが』
「……ねぇ、またあの話?」
『あぁ、そうだ』
「あれならオレは断ったよ。何度言われても、断るって言ったでしょう?」
『何でだよ』
「だから、言ったじゃないか、嫌いだからって」
『俺は、お前と一緒に、行きたいんだが』
「…………」
『駄目か?』
「ダメ、……オレ、あの生臭さには耐えられない!」
『……お前と一緒に寿司を食べに行くのは、俺の夢なんだがな……』
「う…………、……じゃあ……、今度……」
『行ってくれるのか?』
「……そ、そんなに言うなら、行ってあげても、……」
『なら、今度行こうな、寿司食べに』
「……うん」

 ――結局、黒鋼に弱いファイなのだった。

finihsh.

出たくない、そんな話をするための電話なんて


……あれ、ヤバいな最初シリアスな話になる筈だったのにシリアス書くの耐えられなくてギャグ風味にしましま……あ、間違えたしました。
携帯で打ち間違えたのをそのままネタにしてみたら痛かった、しましま……すみません。
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