ゲーム短編小説置き場

□足音
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 「里で待ってろ。」
戦争が終わり、みんなそれぞれ自分の居場所に戻っていった。私達が里に戻る日彼ーレイはすれ違いざま小さな声で私にそう言った。あの言葉が本心からだと知っている。いや、信じている。例えこの力がなくても私は彼の言葉が本当だと信じて疑わないだろう。でもあれから1年足った。私は今もここにいる。戦争が始まる前の様に・・・。

   〜足音〜     
 「ソフィーヤ、そろそろ暗くなるわ。中にはいりましょ。」
イグレーヌさんが私に声をかけた。確かにもうすぐ暗くなる。温度も低くなってくるし、何より夜の砂漠は危ない。暗闇の中を山賊に襲われたら、一溜まりもない。でもー
「もう少しだけ・・・ここにいます・・。」
私がここを離れた後に彼が来るかもしれない。
「ソフィーヤ・・戦争が終わってから毎日外に立っているけど、どうしたの?」「いえ・・何でもないんです。ただ外に出たくて。」「気持ちは分かるけど、気を付けて。あなたは…」
わかっている。私は竜の血を半分だが引いている。 そんな私の事が、いや私だけではなく私やファの事が外の世界に知られたら、大変な事になってしまう。
長老もそう言っていたし、事実今回の戦争は竜が大きく関係していた。
「もう少ししたら、行きますから。心配しないでください…。」
「そう言うなら、行くけど…早く戻って来てね?」
心配そうに後ろを振り返りながらイグレーヌさんは戻っていった。
砂漠の向こうを見ても人の気配は全くしない。
彼はあの時の事を忘れてしまったんだろうか…。
「もう戻らないと…。」
辺りが暗くなってきた。
少し肌寒く感じる。
そんな時ー
 ザッ、ザッ
どこからか足音が聞こえた。
「!!」
気が付いたら私は音のする方へ走り出していた。
「あ…!」 
足音の主は数人の山賊だった。
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