ゲーム短編小説置き場

□その言葉が意味を持っていなくても、嬉しかった
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   ヒュゥ――


 息を吸ったら、そんな音がした。
足は変な方に曲がってるし、出血のせいで制服は重い。口の中も血の味がする。

“ああ…私…もうすぐ死ぬんだ……”


 遺跡の天井をぼんやり眺めながら、そんなことを考える。
 死にたくない、とかそういうことは不思議と思わない。
でも喜ぶ気にもならない。

あるのは彼に対する罪悪感だけ。 



「……あーあ…勝つつもりだったのに……甲ちゃんがここまで強いなんて思わなかったな……」

 力のない声でそう言うと、私を見下ろしている虚ろな瞳が少しだけ揺らいだ。
だめだなぁ…ちゃんと感情を隠さないから、私に悟られるんだよ。




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