ゲーム短編小説置き場

□身勝手なのは解っているから
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――――《りお》。
俺の手によって消えたあいつは最期にそう呼ぶ事を望んだ。

なんでそれを望んだかは、分からない。

不思議と涙は出ない。
単に泣く事を忘れただけかもしれないが。
ただ『あの時』と同じ様に胸が痛む、息が荒くなる――――。

俺は、あいつの横で見っとも無くうずくまる事しか出来なかった。






「《転校生》を斃したか、皆守……」

気がつくと阿門が背後にいた。
表情は見えないが、その声はいつもより力が無いような気がした。

「これで《巫女》の心も揺らぐまい。
 ――――皆守、《転校生》を地上に…っ!」

考えるより先に体が動いていた。
―――――俺は、阿門の体にあいつの所持品だったナイフを刺していた。

「皆っ……か、み…」

聴こえない何かを言おうとしたまま、阿門は倒れた。

―――スマンな、阿門。


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