その他

□tomorrow・・・
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あいつと別れてからもうどれくらいの時間が経ったのか。

だが僕の心にはお前の痕跡がいつまでも残っている。

このキスマークと一緒に・・・







tomorrow・・・
   まだ見えぬ夜明け








「どうして拒むんだ!!俺たちは付き合ってるんだろ?」

つき合っているのだから自然と体を求められるというのはわかっていた。

晃はナンパな男だ。

つき合い出したのも通っていたバーでしつこく言いよって来られたのがきっかけだった。

やけになっていたというのも有る。

そのころの俺は、本気で愛していた人間に裏切られたことのショックから立ち直れていなかった。

今でも俺は昔の男を忘れられない。

つき合い出してすぐに晃は体の関係を望んだが俺は拒んだ。

そういう気分には全くなれなかったのだ。

拒んだ時点で、晃との関係は終わったものだと思っていた

しかし意外にも、なんだかんだと文句を言いながらも晃は俺と別れるでもなく、拒む俺に無理を強要するという事も無かった。

だが付き合いだしてからもう二ヶ月。

とうとう我慢の限界が来たらしい。

力ずくで押し倒され、ボタンを外すのも面倒なのか、無理矢理シャツの前を開かれた。

ブチッという音がして、ボタンが何処かへ飛んでいった事がわかる。

「・・・なんだよこれ!」

しかし、しばらくすると俺の服を乱暴に脱がしていた晃の手が止まった。

半バ諦めた状態で目をつぶっていた俺だが、晃が言っている物が何であるかはわかった。

キスマークだ。

二の腕に綺麗に散った花びら。

鮮やかなその色は間違いなくこの数日の間に付けられた物だと晃にもわかったんだろう。

チラッと見た晃の目は、怒りに燃えていた。

「お前、俺を拒んだのはこういう事かよ!!バカにしやがって!」

バシッツ!!

まぶたの裏に火花が散った。

思いっきり殴られた頬が一気に熱を帯びてくる。

いままで以上に乱暴に晃は俺の服を脱がしていった。

俺は抵抗するでもなく、そのまま目を閉じ、嵐が過ぎ去るのを待った。









目が覚めると俺は自分のアパートに一人だった。

ぼんやりと昨日の事を思い出す。

アパートに尋ねてきた晃となにがあったのかがぼんやりと覚醒し出した頭に思い出してくる。

かなり乱暴に扱われたのかベッドから体を起こすのにもかなりの労力を必要とした。

周りを見渡すが晃がいる気配は無い。

そりゃそうだろう。

二ヶ月もお預けしていたくせに、当の本人は他の男とはよろしくやっていたと思ったのだ。

もう二度と、俺の顔なんて見たくないだろう。

ゆっくりと、何も身に付けていない自分の体を見る。

体中に晃によって付けられたキスマークが散っていた。

ゆっくりと腕を上げて左の二の腕を確かめてみると、そこにもしっかりとキスマークがあった。

これは晃が付けたものではなく、前に俺が愛した男が付けたキスマークだ。

二ヶ月前に俺を裏切り上司の娘と結婚した男・・・

だが俺はその男を愛していた、どうしようもないほどに。


最後に体を重ねた時に付けられたキスマークを消せないほどに。


消えそうになるたびに自分で付け直すほどに。


晃に付けられたキスマークはそのうち消えるが、このキスマークはずっと消えないだろう。


晃と付き合っている間、他の男と寝ていたわけではない。


だが、裏切っていたという意味では全く違わない。


晃に対して何の思いも持つ事は出来なかった。


俺には二度と再び、人を愛せる日はやってこない気がする。


俺はいつまでもこのキスマークに縛られ続ける。




それはまるで消えない入れ墨のように・・・








end



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