02/13の日記

04:24
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夢を見ていた。それは、僕の幸せが始まった日の夢。もちろん、今でも鮮明に覚えている。きっと、誰かにその話を話したとしても、僕は一字一句間違えずに話すことができるだろう。何年たっても、死ぬ間際にも、絶対に思い出すことができるだろう。
それくらい、僕はあの日を忘れられないんだ。
君からしたら、それは恥ずかしいことかもしれない。でも僕からしたら、それは人生を大きく変えるできことだったから。


そう、忘れられないんだ。
暗い闇に突き落とされていた僕に、一筋の優しい光がさした、あの瞬間を。





ーー僕の恋が、人生が、明るく照らし出された瞬間だった。


そこにたどり着くまで、大きな壁やたくさんの思い、たくさんの試練があった。
それらすべてを乗り越えたからこそ、僕たちはーー。








頬に誰かの手のぬくもりを感じてゆっくりと瞼をあげる。いつものように、ジェイドの執務室においてあるソファーで惰眠を貪っていた。毎日をジェイドの執務室でジェイドを見ていたり、寝てすごすのが僕の日常のひとつになりつつあった。近頃は、本も読むようになった。もちろん、すぐ飽きて放り出してしまうけどね。
目が覚めてすぐ、視界いっぱいにジェイドがうつる。僕の頬に触れたぬくもりは、どうやらジェイドの手だったみたいだ。もう仕事は終わったのだろうか。それとも、休憩がてら僕に悪戯でもしようとしていたのだろうか。

「あぁ、すみません。起こしてしまいましたね」

優しい笑顔を浮かべていたジェイドは、起こしてしまったことに少し罪悪感でも感じたのか困ったような顔をしてそう言った。
夜になかなか寝ることができない僕は、朝やお昼に寝ることがよくある。そのことを知っているから、起こしてしまったことに罪悪感を感じてるのかもしれない。今より少し昔なら、当たり前のように起きていただろう。少しの物音、何かの気配、誰かのぬくもりひとつで目を覚ましただろう。でも、今はそれが少しはなくなったと思っていた。ジェイドのぬくもりは安心する。人のぬくもりに触れたからだろうか、それがとても安心できるものだと知ったから。

頬にまだあるジェイドの手に、自分の手を重ね、わざと文句を口にした。

「せっかくいい夢見てたのに・・・」

少し残念そうな言ってやれば、今度は本当に申し訳なさそうな顔をした。その反応を少し楽しみ、クスクスと僕は笑った。それから、冗談だよと返してあげる。文句を言ってみたけど、心から思ってるわけじゃない。
あたたかな夢の中から途中で引きずり出されてしまったけど、今こうして目で見ているものこそが、さっきまで見ていた夢の続きなのだから。

「どんな夢か聞いてもいいですか?」

「・・・いいよ?」

自分の言葉が言い終わるとともに、ジェイドの身体を引っ張ってやる。そうすれば、いきなりのことで身体がついていかづにバランスを崩して僕の上に倒れこむ。

「いきなり何をするんですか」

「だって、聞きたいんでしょ?」

ゆっくりと手を伸ばし、それほど遠くはないジェイドの両頬に手を添える。そして、かけられている眼鏡をとり、近くの机に置いた。ゆっくりと彼を自分の方に引っ張り、そうして彼の耳元で呟いた。





ーーー君が、僕に好きだと言ってくれた、あの日の夢だよ。









あれは銀髪の悪魔と呼ばれていた僕が、ルークたちと行動をともにしてだいぶだったころだった。初めのうちは
、その異名のせいで警戒されていてとても居心地が悪かった。唯一の助かりは、ラフィスがいてくれるからだった。でも、その警戒も少しずつとけて、みんなとは仲良くやれていた。もちろん、ただ一人を除いて、だけど。
一緒に行動する前は、世界の人たちに銀髪の悪魔なんて恐れられていて本当ならこうしてルークたちと仲良くすることもできずに殺されていたかもしれない。それでも、今こうしてここにいられるのは、こんな僕を今でも親友だと言ってくれるセルジュとラフィス、それからピオニー陛下のおかげだった。陛下にはセルジュやラフィスの様な純粋な思いじゃなくて、ただ戦争













あれは、銀髪の悪魔と呼ばれていた僕が、ルークたちと行動をともにしてだいぶたったころだった。初めのうちは、その異名のせいで警戒されていてとても居心地がわるかった。でも、その警戒も少しずつとけて、みんなとは仲良くやれていた。もちろん、ただ一人だけを除いて、だけど。
一緒に行動する前は、世界の人たちに銀髪の悪魔なんて恐れられていて本当ならこうしてルークたちと仲良くすることもできずに殺されていたかもしれない。それでも、今こうしてここにいられるのは、こんな僕を今でも親友だと言ってくれるセルジュやラフィス、それからピオニー陛下のおかげだった。ピオニー陛下には、セルジュやラフィスの様な純粋な思いじゃなく、ただ戦争のために使われるかもしれない、そんな不安が少しあった。でもそんな不安の中、どこかで戦争に使われてもいいという思いがあった。それは、ピオニー陛下に感謝するとともに僕は自分の命を捨てたのかもしれない。今は死ぬ場所を探している、そんな気さえした。
今の僕はどこか不安定な気がする。

僕はまたあの暗く薄汚れた世界に連れて行かれる。あそこは僕のひとつの居場所であり、いつか抜け出したい場所。人を殺すことは好きだ、楽しいから。幸せそうな人たちを見るのは嫌だ、ズキズキとするから。でも、人を殺すことはいやだ、なんだか怖い。生きていくことは楽しい。生きていくことは苦痛だ。生きることに何の意味があるのだろうか。
そんなよくわからないものが、僕の中で渦巻いていた。


いろいろと考えることがあるが、それさえもゆっくり考える時間は僕にはなかった。今はただ、ルークたちと一緒に行動することだけで精一杯だった。
何よりも

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