03/01の日記

00:16
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夢を見ていた――。
それは、僕の幸せが始まった日の夢だった。今でも、あの始まりの日を鮮明に覚えている。誰かにその話をし

たとしても、一字一句間違えずに話すことが出来るだろう。何年たっても、死ぬ間際にでも、思い出すんじゃ

ないだろうか。それくら、僕はあの日を忘れられない。
君からしたら、少し恥ずかしいことかもしれない。でも、僕には違う。

あの日は、僕の人生を大きく変える出来事だったから。



そう、忘れられないんだ。
暗い闇の中をさ迷っていた僕を見つけてくれたのは君だよ。こんな僕を救ってくれたのも。
暗い闇に突き落とされていた僕に、一筋の優しい光がさした、あの瞬間を。


――僕の暗く、薄汚れていた人生が、明るく照らし出された瞬間だ。




そこにたどり着くまで、僕たち二人には大きな壁がたくさんあった。一生分かり合うことはない、一生仲間とも友

人だとも思ってくれなと思っていた。それなのに、大きな壁を乗り越え、分かり合い、仲間となり友人となり、そ

れから――。







頬に何かのぬくもりを感じてゆっくりと瞼をあげる。ゆっくりと覚醒していく中で、僕は自分がどこにいるのかを思

い出す。僕が今いる場所は、ジェイドの執務室だ。僕は毎日を当たり前のようにここで過ごす。ジェイドと話をす

ることもあれば、ソファーで寝ていることもある。近頃は、本も読むようになった。昔は本を読む暇なんてなかっ

たし、あまり興味はなかった。今は、ゆっくりする時間があるし、ジェイドが相手をしてくれないときの方が多いた

め、暇つぶしで読むことが増えた。もちろん、投げ出すことの方が多いのだが。
しっかりと意識が覚醒し、視界いっぱいにジェイドがうつる。僕の頬に感じたぬくもりは、どうやらジェイドの手だっ

た。その手は珍しく手袋を外している。そんなジェイドの手に自分の手を添え、彼の手に頬をすりよせる。

「すみません、起こしてしまいましたね」

「ん・・・大丈夫。あとは夜に寝るからへーき」

「そう言って一度も寝たことないじゃないですか」

「あれ、そうだっけ?」

「そうですよ、まったく・・・」

そう言って、ジェイドは少し悲しそうな顔をした。起こしてしまったことに罪悪感を感じたのだろう。僕は別に気には

していないのだけど、夜を寝ることが出来ない僕に少しでも寝てもらいたいと思ってるのだろう。

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