短編の部屋

□苦労人
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今から十数年前・・・

キキィィィー!!!!!
ガシャーン!!!!!

通行人1・「車にトラックが突っ込んだぞ!」

通行人2・「早く救急車を!」



あの日の記憶は今では、ほとんど残ってない・・・



さらに数年前・・・神風家



女中・「奥様!神風本家から吉報でございます。」



そう呼ばれるのは、奥様もとい神風翠の母親『紫音』(しおん)



紫音・「本当ですか!?では・・・」

女中・「はい。お生まれになりました。女の子だそうです。名前は『葵』(あおい)ちゃんと言うそうで・・・」

紫音・「まぁ!では、お祝いをしなきゃ・・・」



この日、神風本家で一人の女の子が生まれた。この頃、翠はまだ6歳であった。
この神風家(翠がいるほう)は本家ではなかった。翠の祖父は弟のほうであり、
その兄の方が本家を継いだからだ。その祖父の兄の娘に子供ができた。
翠にしてみたら遠いが一番近い従兄妹にあたる。神風家は祖父の代以降ずっと
一人っ子であったため、身近に従兄妹が居なかった。



それから3年後・・・



女中1・「翠様はどちらへ・・・?」

女中2・「同じ小学校のお友達と遊びに行かれましたけど・・・」

女中3・「あなたたち!今日が何の日か知っているのですか!?今日はこのお屋敷へ本家の方達がいらっしゃるのですよ!?この忙しい時に話している暇があるなら、翠様を探しに行ってらっしゃい!」

女中1・2・「はっ・・・は〜い!」(慌)



パタパタ・・・



そう、今日はこのお屋敷に神風本家がまだ3歳の孫娘の葵ちゃんを連れてやってくる
日であった。その葵ちゃんの3歳の誕生日でもあったからだ。



その頃海辺では・・・



翠・「ちょっ!夕華!危ないよ!?」

夕華・「大丈夫!大丈夫!」

翠・「大丈夫じゃないよ!?今日は波が高いから海に近づいちゃ駄目だってお母様が・・・!」

夕華・「もう!黙っててよ!あと、ちょっとなんだから!」



そう言いながら、夕華はその辺に置いてあった手漕ぎボートに乗り海へ行ってしまった。
と、いうのも、夕華の親友・虹島姫乃(にじしまひめの)ちゃんの帽子が海の方へ風で
飛ばされてしまったのを取ろうとしているのだった。
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