異界の物語

□第一章・神の選択・悪魔の宴(後編)
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その瞬間、夢で出会った女性の言葉が頭をよぎった『一刻の猶予もない・・・すぐに
そいつを見つけて殺しなさい。早くしないと大変なことになる・・・』とっさに、
セレフィスはゼルフォンの手を引っ張り、大ホールから走って逃げ出した。
そして、走りながら、夢のことを話した。



ゼルフォン・「そんな馬鹿な!夢の中で剣をもらっただなんて・・・」

セレフィス・「でも、夢に出てきた人は王宮にディーネスが入り込んでて・・・
早く殺さないと大変なことになるって言ってたわ!実際に今、
      奇怪な事が起きているじゃない!この際、疑っている暇はないわ。
急いで部屋に帰って服を着替えて・・・武器を持って逃げましょう!
私たちの部屋は幸い隣で、城壁を越えたすぐ近くに馬小屋もあるから
馬を借りて逃げましょう。」

ゼルフォン・「服を着替えてる暇なんかねーだろ!必要最低限・・・武器とか金とか
      持って逃げるんだ!服くらい後で買えばいいだろ」

セレフィス・「・・・そうね。急ぎましょう!」



セレフィスとゼルフォンは急いで自分の部屋に駆け込んだ。ゼルフォンは荷物を持って
セレフィスの部屋へ駆け込んだ。しかしゼルフォンの目に入ってきた光景は・・・
硬直している姉と目の前に今にも飛びかかりそうな体勢をとっているディーネスがいた。


白濁していて何処を見ているか分からない目に、深い灰色に黒のまだら模様の鱗のような
見るからに硬そうな肌・・・頭から尻尾にかけ、背骨に沿って生えている角のようなモノ
。前足にも後ろ足にも、まるで鎌のような大きなかぎ爪がある。あの爪に狙われたら最期
であろう事がどんな馬鹿でも簡単に予測できる。・・・すごい脚力だろうと見て分かる
太い後ろ足。黄ばんだ鋭い歯が見える耳まで裂けた口。二足歩行でこちらの様子を
うかがいながら、ゆっくりと近づいてくる。
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