異界の物語

□第一章・世界の果てへ…
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ルヴィオン・「・・・煙の臭いがします。そろそろ鼠族が近くなってきたのかも
      知れません。」

セレフィス・「やった!もうすぐで鼠族よ!」

アンジェル・「やっとまともな床で寝られるわぁ〜・・・」

ルヴィオン・「・・・ちょっと待ってください・・・この臭いは・・・」



ルヴィオンが言葉を止め顔を曇らせた。それに続いてイオンがそっと口を開く・・・



イオン・「血の臭いですね・・・」

全員・「!」

イオン・「それも一人二人の血の臭いではありません・・・かなり多くの・・・」

ルヴィオン・「やはり・・・」



ルヴィオンはイオンを見て答えを待った。無言のままイオンは頷いた。
(竜族は嗅覚に優れているが、それ以上に犬族の方が優れている。)



イオン・「人間と化身の血の臭いです。ディーネスの血の匂いも混ざってますが・・・
    煙の匂いも広い範囲から臭ってきます・・・火事があったのかも知れません。」

ロゼック・「急ぎましょう」

ウウィリー・「生存者がいるかも知れません!」

セレフィス・「うん!」



そう言うと、セレフィス達は急いで、鼠族へ向かった。村は、壊滅的状態・・・
いたる所に死体が転がっている。火事に巻き込まれた大人と子供の焼死体・・・
何かに押しつぶされたような礫死体・・・そこら中、死体だらけだった・・・
セレフィス達は愕然とした。今まで、竜族・鳥族・犬族・羊族と・・・どの村も
ここまで酷くはなかった。・・・『国をディーネスに乗っ取られている』という
現実を改めて突きつけられた。とにかく生存者がいないかセレフィス達は村中を探す
事になった。セレフィスとルヴィオン・アンジェルとイオン・ロゼックとウウィリーの
三ペアで動くことにした。セレフィスは、もしかしたらまだ近くにディーネスがいる
かも知れないと言うことで、剣を元の大きさに戻し、剣を握りしめ見て回った。



セレフィスはふと族長と契約者が気になり、族長の屋敷かと思われる屋敷へ足を踏み
入れた。戸が外れた門をくぐって中に足を踏み入れたとき、突然奥から何かが飛んで
きた!鎌だ・・・それもただの、農業で使うような・・・敵かと思い、セレフィスも
剣を構えた。今度は違う武器だったそれも鎌が飛んできたのとは全然違う方向からだ。
あまりの速さに武器の形がよく分からなかったが・・・セレフィスはその武器に赤い
宝石が付いているのを見逃さなかった。剣でその武器を跳ね返した。ジャランという
重い鎖の様な音がして、その武器はまた屋敷の奥の暗闇に戻っていった。まだ来たが、
さっきとはまた違う方向から武器が来た。セレフィスは避けきれず、左腕をかすった。
セレフィスはもしかしたらこの武器を投げてきているのは契約者かも知れないと思い、
なんとか話せる間を作ろうとするが、攻撃が早すぎて話す暇など無い。次はどこから
武器が飛んでくるのかに意識を集中させていないとマズイと思った。今度は右からきた。
セレフィスは何とかその武器を剣でたたき落とし、足で踏んで戻せないようにした。
やっと、間を作れたセレフィスは武器が伸びてきている方へ目をやって話しかけた。



セレフィス・「誰だか知りませんが、武器をしまってもらえませんか?私は、フェニック
      大陸国王・ヴィルア=フェニックの第一子のセレフィス=フェニックです。
私たちは敵では在りません。」
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