人魚姫|原作END

□触れる距離の体温
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王子の結婚式が近づく

城内には慌ただしく動き回る人々

興味なさそうに歩いてる王子と目があって、ゆっくりと微笑んだ

王子が話してくれる、人魚の話

自分の事だから恥ずかしくて、けれど…伝えられないのがもどかしい

声と引き換えに得た人の姿のお陰で、今はこうやって傍に居られるのだけれど…

「あの時に出会った人魚が好きなんだ」

彼が告げた突然の告白
私ではなく、人魚の私に対しての想い

少し複雑な気持ちが混じり、私は上手く笑えなかった

頬に触れる彼の指先、温かな掌

そっ…と手を添え、そこにある温度を確める髪を掠める爪先がくすぐったい

私を見ていた王子

私もただ見ていただけなのに…彼は、視線を逸らして

何故かその仕草が可笑しくて、声は出なかったけど…笑う私を見る王子は優しくて哀しい表情をしていた


愛しい王子、貴方に伝えたい

貴方の気持ちへ、彼女からの答えを

ごめんなさい、姉さん

…この短剣は使わないから
約束を破ったこと、怒られてしまうかな

それでも、
時計は時を刻む事を止めないから

直に、カウントダウンが始まる

謝罪と感謝

最後の刻に私の願いは叶えられますか





20090414

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