人魚姫|原作END

□選ばれなかった選択肢
1ページ/1ページ



人の来ない浜辺で出会った

「どうしたんだ?こんな所で」

人間の王子、アースと

「人間…?」

幼い人魚姫、フェイ

「迷子になったのか?」

「…なんで」

「ん?」

「なんで人間には尾ひれがないの?」

アースの言葉に答えることなく問う

「は………?」

咄嗟に反応を返せず、言葉を失うアース

「なんで人間は陸に住んでるの?なんで人間は海で息が出来ないの?なんで…」

「え、あ……さぁ?」

「ねぇねぇ、どうして?」

「いや…どうしてって……!」

フェイはぺちぺちと小さな音を立ててアースの頬を叩く

「な、なんだ…?」

「あのね、人間はみんな暖かいの?人間はみんな大きいの?人間の髪はみんな黒いの?」

「…っちょっと待った」

制止の意味を込めてフェイの前に出した手に

「………」

ぺちん、とフェイは自分の小さな手を合わせる

「いや、合わせろって意味じゃ…;」

「手…大きいねー」

「(聞いてない)…そうか」

「あのね、」

「見つけたわよ!」

突如現れたサメを従えた人魚、カバネは

「人間のくせにフェイを拐うなんていい度胸ね!」

アースを指差しながら大声で告げる

「俺は何もしてないぞ!?」

「言い訳は許さないから!子供だからってバカにしないコトね!!」

「いや、バカにした訳じゃ…それより誰だ?」

未だに手を合わせているフェイに問えば

「おねえちゃんだよ?サメを倒して家来にしちゃったの!」

恐ろしい言葉を無邪気な笑顔で告げられる

「そう、なのか…(あんなに小さいのにサメを倒したのか)」

「早くフェイをはなしなさい!」

「(別に捕まえてた訳じゃないけど)ほら、呼んでるぞ」

不満顔なフェイを抱え、カバネの隣に下ろすと

「しの…フェイに」

「おねえちゃん?」

「わたしのフェイになにするの!?」

突如、怒りに声を上げられる

「俺が何かしたように見えたか!?」

「触ったぢゃない!人間は可愛い子が好きだって本当だったのね!みんなロリコンだって!」

「ロリ…って、一体人間にどんなイメージ持ってるんだ!!」

「言ったとおりよ!フェイ、早く帰るわよ!!」

「え…うん(ロリコンってなんだろう?)」

フェイの手を引いて海に戻ろうとするカバネの

「ちょっ…!待て!」

細い腕を掴み、引く

「(誤解は解かないと)人間は…っ!!」

ゴンッ、と音を立ててカバネとアースの額がぶつかる

「つぅ〜…!痛いぢゃない!はなしなさいよ、ロリコン王子!!」

「っ!!?」

こうして、幼い人魚達(正しくはカバネ)はアース王子に止めを刺し海に帰っていきました

「ロリコン…っ」

王子の心に深めの傷を残して



一方、幼い人魚達は

「ねぇねぇ、おねえちゃん"ロリコン"ってなぁに?」

「ロリコンはさっきの王子みたいな人間のことよ!」

「そうなんだ…さっきの人、王子なの?」

「………(気づいてなかったの…?)」





20090619

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ