人魚姫|未来END
□溶け合う鼓動に
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彼女の左手を掴み繋いだ俺の右手
小さく微笑み見つめる瞳
お前にも、普段より早く高鳴る鼓動が聴こえているんだろうか…
彼女の腰に回した左手で小さな身体を抱き寄せる
驚いた様子はなく
見上げる彼女と交わる視線
何も話さずとも、繋いだ手から伝わる温度
繰り返す波の音の中に聴こえた小さな鼓動は
お前の音…?
小さく微かな音だが、それでも確かに届いて聴こえる音
そっ、と胸元に掛かる微かな重み
「フェイ…?」
腰に回していた手で彼女の髪に触れる
「…もう少しだけ」
言葉を告げると共に染まる頬、左手から伝わる僅かに上がった体温
このまま
お前の熱に触れ高鳴る鼓動が重なれば、絡めるように繋いだ手から
ひとつに溶け合ってしまいそうだ
20090710