人魚姫|未来END
□後日談
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秘密の砂浜にて・・・
「姉さん…」
「どうしたの、フェイ。そんな思い詰めたような可愛い顔をして…」
「…"可愛い"は省いてもらえませんか」
「どうしたの、そんな可愛い顔をして」
「………。…アースさんのこと、なんですけど」
からかいを含んだ楽しげな表情のカバネと、何かを諦めたように話始めたフェイ
「王子に何かされたのね?安心して、いつでも沈められる用意は出来てるわよ」
"アース"という単語が出た途端、真顔で恐ろしい発言をする姉に
「すいません…普通の相談をするので、普通に応えて下さい」
真面目に返す健気な妹
「違うの…?じゃあ、なにかしら」
「あの…アースさんが人魚を食べる方みたいで、でも『食べる』には他にも意味があるそうなので、私達が思っている事とは違うみたいなんです…それで、私はどうしたらいいのかな、って」
「そうね、王子を海に沈めてしまえばいいと思うわよ」
優しい微笑みを宿しながら、軽やかに伝えられる悪魔の囁き
「あの…穏便に解決したいんですが」
「そう…じゃあ、とりあえず距離を置いてみたらどうかしら」
「それなら、やってみたんですけど…」
「あら、ダメだったの?」
「いえ…ただ、急に触れられなくなると、違和感といいますか…なんか、落ち着かなくて」
顔を赤く染めながら、困ったような表情で紡がれるフェイの言葉は
「………」
カバネから言葉を奪うには充分過ぎる程の威力を込めていた
「…姉さん?どうかしましたか」
「フェイ、貴女…」
「…はい?」
「普段、王子とどんな生活してるの…?」
「えと…普通、ですよ?」
「なんで疑問系なの!?ちょっと…帰ってからの行動を教えて……?」
「帰ってから、ですか?そうですね…えと、まずアースさんに姉さんとの事をお話しして、一緒に夕飯を頂いて、お風呂に入った後はおやすみなさいで終わりですよ」
「それだけ?お風呂と寝るのは別よね?」
「お風呂は別ですよ」
「寝るのは同じ部屋なの!?」
「あ、いえ…同じベッドです」
「ッ!!?」
「人間の方はそれが普通だと聞いて…」
「………(フェイがっ!私の可愛いフェイが…っ!!)」
可愛い妹からの爆弾発言に思考が追いつかない
「…ね、姉さん?」
「だ、だい…大丈夫、よ(多分)…他には、一緒に居ることはないの?」
「あ…はい、雨の日はずっと一緒に居ますね。後は、アースさんのお仕事が早く終わった時や、お茶の時間とか…」
「そう(王子は私が思っている以上に、いい思いをしてるみたいね)」
「それで…話を戻しますけど、私はどうしたらいいんでしょう?」
「その事なら、今度王子が来たときにでも、私から言ってあげるから大丈夫よ」
「本当ですか…!」
「えぇ、だから…フェイはもう少し王子と距離を置いて生活してね?」
「はい!気を付けます」
「そう…ちゃんと気を付けてね?生で食べる人間もいるんだから…」
「え…?」
カバネの言葉に固まるフェイ
「フェイを油断させて頭から…って事もあり得るわよ?私が王子にちゃんと言ってあげるまで、気を付けなさい…ね?」
「はい!頑張りますっ…?!」
私の言葉に混乱しているフェイの頭を撫でながら、アースに伝えるべき事を考える
(これ以上、王子にいい思いをさせるつもりはないわよ)
20090730