小説置き場

□陽射しの中を吹き抜けて
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「ま、こんなもんか」

結局、こっちが手を出す前に目を覚ました彼女に部屋を追い出されてしまい、仕方なく朝食の用意に戻った

とは言っても、ほとんど用意し終えていたから、後は彼女が来るのを待つばかりだが


どんな顔をするだろう?

彼女と暮らし始めてから、一緒に料理を作ることはあっても、俺が朝食を作って待っていたのは初めてのことだ

喜んで、くれるだろうか…?


「…あの、アースさん」

「え…?あ、なんだ?」

いつの間に居たんだろう

考え事をしていて、部屋の入り口から顔を覗かせている彼女に気付かないなんて


「どうした?」と、顔を覗かせたまま動こうとしない彼女に近付こうとすると

「その………似合い、ますか…?」

彼女が先に俺の前まで来て、真新しいワンピース姿を披露してくれた

今まで祝えなかった分も、まとめて祝う為、今日という彼女の…フェイの誕生日の祝う為に仕立てたワンピース

それが、お前に

「似合わない訳ないだろう」

「え……?あ、アースさん…っ??」

抱き寄せて、抱きしめて、頬を染めて戸惑う彼女に、触れるだけの優しいキスをした

そして、いくつもの疑問符を浮かべた彼女を椅子に座らせ、自分はその向かいに

危うく、せっかく彼女の為に作った朝飯を冷ましてしまう所だった


「…嬉しいです」

ふっと彼女が言葉を漏らす

柔らかな笑みで、楽しそうに

「朝起きたら、テーブルに朝ごはんが用意されているのも、すごく嬉しいです」

「そうか。……早く食わないと冷めるぞ」

喜んでくれて良かった。と、思うと同時に、その事を真っ直ぐに伝えられた事が照れくさくて、目を逸らしてしまったが

「はい、いただきます」

彼女は、それを察してくれた


 
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