小説置き場

□お相手だぁれ?
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何処から引っ張り出したのか、カーペットの上に広げられたボードゲーム

「あ、結婚したわ!」

ルーレットが止まり、コマを進めた先
ピンクの車が止まったマスには…まぁ、色々な事と[配偶者を車に乗せる]という事が書いてある

「じゃあ、誰かを車に…」

マスを読んで、フェイは(箱の蓋に入れられた)配偶者用のコマを手に取るが

「さぁ、乗って!クオリ!」

「エニメニ…私の分の車は誰が動かすのだ?火炎でも乗せておけ」

ソレに見向きもせずにクオリに言い放ち、何故か火炎のコマを車に刺された

「私…面識ないわよね…?」

「え〜…次は私の番ですねー」

「なんで?」と、疑問符を浮かべるエニメニに複雑な微笑みを返して、フェイはルーレットを回しコマを進めた

「あら?フェイも結婚するの?」

黄緑色の車が止まったマスを見て、エニメニが目を輝かせた

さっきの事は気にしない事にしたらしい

「さぁ、誰がいい。誰を選ぶ」

コマが入った蓋を差し出すクオリは、表情からは分かりづらいが楽しそうだ

「誰…って、言われても…」

2人の反応を見て戸惑うフェイをよそに

「誰がいいかしら。候補者は全員居るけど」

「アースか?それともこっちの2人…?」

「あの…候補者って何の?」

何やら勝手に話を進めていく
フェイの問いかけは予想の範囲だったのか

「「フェイの恋人候補」」

声を揃えて、さらりと返した

「え…?ふぇええっ!!?な、な…何で、そんな候補をっ!?」

2人の発言に慌てふためくフェイの前で

「アースでも乗せておくか?…付き合いも長いみたいだからな」

「キリクでもいいんじゃない?最近よく一緒に居る所を見るし!」

「…ブランとノワールもなついていたな」

「マクモとの仲も気になるわよね…」

単にフェイの恋人が気になるだけらしい2人は、好き勝手にコマを車に差していく

「なんで私を見るんですかぁ!!それに、もう車いっぱいですよっ!?」

車に刺さるコマは6つだけ

「むっ…他のコマが乗せられなくなった」

口元に手を当てるクオリの手にはユラのコマが、どこからかペンを取り出したエニメニはジャンクのコマを持っている

「ま、まだ乗せる気なんです?私…結婚しただけ、なんですよ?」

「大丈夫よ!コレで☆」

おろおろするフェイの前で、エニメニはマスに文字を書き足した

[結婚した]という文字の上に小さく、[出来ちゃった]と

「ほぅ…コレは名案だな」

文字を読んだクオリは、持っていたコマを車に乗せる(乗せるといっても、刺さらないから置いただけ)
そして、ボードを挟んだ向かい側にいるフェイに向き直り、少し身を乗り出した

「さすがにこれ以上は無理ね」

エニメニもコマを車に置いて、期待に輝く瞳をフェイに向けた

「え?あの…?」

「さぁ!誰を選ぶの?」

フェイが普段、なにかと理由を付けてかわす話題。その答えが聞けると期待に瞳を輝かせる2人から目を逸らし

「誰って、そんな…っ!それに、あのっ…ほら、クオリさんの番ですし!!」

話題を変えようと、言葉を紡ぐ

「えー…でも、これじゃあ子供産まれても乗せられないわよ?」

「出来ちゃったんですし、大丈夫です!」

なにが「大丈夫」だと言うのだろう?

「そうか。…6人も頑張ったんだな」

だが、そうはさせないと言わんばかりの2人に、混乱したフェイは

「そっ…そんなには頑張ってません!!」

もはや自分でも、何を口走っているか分かっていないらしい

「「そんなには?」」

「ふぁ…?っ!!!?」

その言葉に即座に反応した2人は、真っ赤になって口を押さえたフェイに詰め寄る

「『そんなには』って事は、ある程度は頑張っているって事ね!」

「相手は誰なんだ?」

「えー…うぅ、あ…そ、そんなことより、ゲーム続けましょうよ!…ね?」

なんとか話題を変えようとするも

「ゲームは後でも出来る」

「でも、フェイは後だと逃げるでしょう?」

じりじりと攻め寄られ、気が付けば壁際まで追い詰められていた

逃げようとしても、すぐに捕まるだろう


「………私は、」


 
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