小説置き場

□高鳴る鼓動の確かめ方
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パタンと扉の閉まる音がした

本当にシャワー浴びに行ったんだ


「…逃げられちゃいましたね」

「ちぇー、なんだよー!」

デザイン画をテーブルに置いて、苦笑混じりの言葉を掛けるフェイの隣に座る

「きっとすぐに出てこられますよ。…そうだ、クッキー焼いてあるんですけど、待っている間にどうですか?」

「そうだな…アースの分も食ってやる!」

今日来るって言ってあったのに待たせるアースが悪いんだ!
その言葉を聞いて、フェイが楽しそうにクスクス笑ってる

…俺、一応怒ってるんだけど…って、あれ?そういえば、なんか…

「じゃあ、持って来ますね」

「あ…待った!」

立ち上がろうとするフェイを引き留めて、じっと顔を覗き込んだ

さっきは気付かなかったけど、いつもよりほんのちょっとだけ、頬が赤い気がする

さっきアースと何か話してるみたいだった

「…マクモさん?どうかしましたか?」

気付くとフェイの頬に手を添えていて、それを見てたフェイが優しく聞いてきた

「…風邪引いたのか?赤くなってるぞ?」

フェイの頬は、やっぱり、ちょっと熱くて

「え…?あ!だ、大丈夫ですっ…これは、な、なんでもありませんよっ!!」

一瞬だけ何を言ってるのか分からないといった顔をしたフェイは、次の瞬間には更に顔を赤くして慌て出した


「本当に大丈夫なのか?」

ちょっと顔を近付けると、耳も赤くなる

「だ、だ、大丈夫ですっ!」

…なんだろう

いつもと違って、真っ赤になって慌てているフェイを見てると、すごく

「可愛い…」

って思った

「え…?え?マ、マクモさん…っ!?」

コツンと額を合わせると、膝に乗せていた手を俺の肩に移動させて、弱く押される

「…やっぱり、熱いぞ」

フェイは恥ずかしそうに目を伏せていて、潤んだ瞳は鮮やかさを増してる

「で、でも…病気、とか、では…」

自分の膝の辺りや、俺の顔とかを見ながら、フェイがごにょごにょと話す度に、毛先が顔に当たってくすぐったい

だけど、なんか分からないけど、ものすごくドキドキしてきて

「………」

気付いたら、瞼に唇を寄せていて

「マクモさん…?」

フェイに、キス…してた


なんか…俺も熱くなってきた、気がする

ちょっと離れると、フェイは真っ赤になりながら自分の服をぎゅっと握っていた

「あ……ご、ごめん!」

「え、いえ、そんなっ…!」

急に恥ずかしくなって、慌ててフェイに謝って、手を離した。フェイは真っ赤なまま、「大丈夫です!」って言ってくれたけど


ドキドキが収まらない

目を合わせることも出来ない

「な、なんか…熱いなっ!な?」

「え…?あ、そうですね。マクモさんも赤くなっていますしっ!!」

「えっ…!!?」

フェイに言われて、自分の頬を触ってみて、熱くなってるのに気付いた

「病気では、なかったでしょう?」

「そうだな…でもフェイの方が赤いぞ!」

なんか、赤くなってるのが恥ずかしくて、つい大声を出したけど

「そんな事ないです!私より、マクモさんの方が赤くなってますよ」

フェイが顔を近付けて言うから、さっきより顔が熱くなったような気がして

目前にあるフェイの顔につい息を飲む

「っ…フェイ」

「ぇ?あ…マクモさっ…」

またゆっくりと、二人の顔が近づくと

「あ、お邪魔だったかな?」

「っ!!?」

突然、声を掛けられた

驚いて振り向くと、からかうように笑うキリクと、疑問符を浮かべたアースが部屋の入口に立っていた

「どうしたんだ、二人して」

「顔が赤いぞ?」と、キリクの後に部屋に入ったらしく、状況を理解してないアースの言葉にさっきの事を思い出して

「ア、アース!遅いぞっ!」

「は?そんなに経ってないだろう」

「いや、遅かった!!」

デザイン画を掴み、疑問に声を上げるアースの背を押して、まだ笑ってるキリクに構わず、急かすように部屋を出た


笑って、慌てて、赤くなって…
さっきからフェイの表情が頭から離れない



(どうしたんだ、俺。…さっきからずっと、心臓がドキドキする)





20100817

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