小説置き場
□アスフェ
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じわりじわり…少しずつ広がる赤
ソレと同じく少しずつ奪われる体温
命が終わる。
理解と絶望。
もう、その瞳が開かれることはない
その唇が言葉を紡ぐことはない
その手が触れることはない
幼さが残る大人に成りきれなかった小さな身体から、生の熱が抜けていく
何故、望む
今さら、何故………?
その微笑みを見たい、なんて
風を掴めないように
水を捕らえられないように
繋いで置くことなんて出来ない
傷付け、失い、その命が消えるまで
彼女は当たり前の様にそこに存在していたから
失うことを考えたことなんか無かった
(気付くのが遅かったなんて理由にならない)
もう…冷たいその身体
赤も鮮やかさを失っていた
20090124