小説置き場

□雪に咲く紅い華
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「なんだ、用事でもあったのか…?」

自分の膝の上に向かい合うように座り、黙り込んだまま目線にあまり差がなくなったフェイの瞳を覗き込む

「用事…と言いますか、その、」

「言いにくいことなのか…?」

ボタンを外していた手を止めて、言いづらそうに話すフェイの頭を撫でる

「無理ではないです…それに、どうしても…今日じゃないとダメなんです」

「そうなのか??」

「はい。だから、そのっ…!」

何で今日にこだわるんだ、なにかあっただろうか

頼りない月明かりを映す瞳を見つめ、視線だけで続きを促すと赤く染まった顔で

「あ、あ、あの…し、したい、ですか?さ…さっき、の…つ、続き…っ!」

懸命に言葉を紡ぐ

いま凄いこと言ってなかったか…?さっきの続き?…意味を分かってるのか?

「…フェイ」

頬をなで、唇を重ねる

言葉ではなく行動で返事を返した

「ん、んっ、ふ…ぁ」

吐息と共に零れる声

いつもなら、弱々しくはあるが抵抗するのに、今日はシャツを握りしめて受け入れている

「…本当にいいんだな」

「ふぇ…?っん!」

襟元をずらし、月明かりに浮かぶ細い首筋に紅い跡を付けていく

自然と口角が上がる

白い肌に映える紅に舌を這わす

フェイからは跡が見えないのだろう、不思議そうに見つめながら、時折甘い声を溢す

「フェイ、掴まってろ」

「えっ…?ひゃ…ぁん!?」

身体を反転させて、腕の中に収まるフェイの身体をベットに押し倒す

「フェイ、口を開けろ」

「っ?んぅ、ふぁ…ふ、はっ、あ…」

戸惑いながら、それでも開かれた唇から舌を滑り込ませ、絡める

フェイの唇からは絶えず甘い声が零れ、水音と一緒に室内に響く

絡めた舌を放すと、銀の糸が月明かりを反射しながら二人を繋ぎ、ゆっくりと切れる

「あ…はぁ、はっ、ア…ッスさ…?」

呼吸が乱れ、虚ろな視線を向ける
フェイの口元を伝う飲みきれなかった唾液を舐めとり、はだけたシャツの胸元から直接肌に触れた

「フェイ、力を抜け…大丈夫だ」

キツく目を瞑り、身体を強張らせて震えるフェイに、優しく伝える

「あ、アースさっ、ん…私は、平気…大丈、夫…です」

首に回された腕に抱き寄せられ、泣きそうな瞳と震える声で伝えられた言葉

それでも微笑む彼女は月の光に照らされ、纏う空気は儚さを増していく

「フェイ…」

「…はい…っ」

ふるりと小さく震えたフェイの額に、触れるだけのキスを送り、彼女の隣に移動し

「寝るか」

額を合わせ、包み込むように抱きしめる


 
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