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□はじめましてだなぁ、サンタクロース
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赤をベースに白いファーがついた服に身を包み、頭に赤い三角の帽子を被る。長いポニーテールはくるくると丸めて、帽子の中に放り込んだ。プレゼントの入った白い袋を肩に担げば準備オーケーだ。
 12月24日、クリスマス・イブ。

「カタギリ、今日が何の日か知っているか」
 グラハムが目を輝かせて言ったのは、つい数時間前のことだ。嬉々とした表情には二十七歳とは思えないほどの幼さが残る。
 パソコンのキーボードを打っていたビリーは手を休め、顔を上げた。コーヒーカップを片手に持ったグラハムは、愉悦を浮かべてビリーの隣に立っている。
「何の日かって……」
 ビリーはカレンダーに目を移した。フラッグの調整と対ガンダム対応の研究ですっかり季節感を失っていたが、そう言えばもうこんな時期である。
 12月24日。ビリーはくすっと笑って立ち上がり、グラハムを上から見下ろした。
「勿論、知っているよ。恋人達が愛を育む聖なる夜だね」
 ビリーは胸を躍らせた。こんな問いかけをしてくるとは、グラハムも可愛いものだと思う。結局、彼は遠まわしに誘っているのだ。クリスマスの一日くらい、仕事を忘れて私を抱け、と。
 聖夜くらい仕事を放ってグラハムを抱くのもいい。むしろ願ったり叶ったりだとビリーは口を綻ばせる。
 ところが。
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