SS

□DREAM
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 草木も眠る丑三つ時、ビリー・カタギリはとある人物と枕を並べ、ベッドの上で眠っていた。と言っても、対ガンダム戦用にフラッグを改良する為、日々研究で忙しく、ようやくうつらうつらとし始めた頃合いである。隣に眠る人物の規則正しい寝息が、子守歌のような安らかさで胸に響く。ビリーは温かい気持ちで意識を深い所へ沈めていった。もうすぐで意識が完全に自分のものではなくなると、薄々感じたその刹那。
「初めましてだなぁ、ガンダム!」
 静寂な闇に似合わぬ叫び声が、ビリーの意識を揺り起こした。
(!?)
 ビリーはびくっと体を跳ねさせ、慌てて飛び起きる。探り当てた眼鏡を急いで装着し、声のした方へ視線を向けた。
「どこへ行くつもりだ、ガンダム!」
「君か……」
 ビリーは叫び声の正体を知り、がくりと肩を落とす。
 何のことはない。グラハムだ。グラハムはいつの頃からか、ビリーと同じベッドで寝るようになっている。
 最初グラハムが好んでビリーの部屋へやって来るようになったのは、ガンダムが現れた頃からだ。パイロットでありながら、技術面にも興味があるらしい彼は、ビリーのパソコンを覗き込んだり、様々な質問を口にしたりしては、何事か思案している。おそらく、対ガンダム戦を念頭に置いて、フラッグを如何にカスタムするのがより有効かを考えているのだろう。グラハムは、何かと言えばガンダムガンダムと口にするようになっていて、夜中に突然ガンダムの名を叫び出したとしても、別段不思議ではないと、ビリーには思えた。
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