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□我慢弱い男
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 爽やかな朝、空気の抜けるような音がして、研究室の扉が開く。
「カタギリ、フラッグは出来ているか」
 早朝から元気な声だ。コーヒーをすすって一息ついていたビリーは、微笑みを湛えて振り返った。
「おはよう、グラハ……ム……」
 そして一気にテンションが下がる。
「なに、グラハム。その格好は」
 笑顔を引きつらせて尋ねると、グラハムは事も無げに胸を張った。
「いつでも出撃出来るようにな」
「いつでもって。悪いけど、今日中には君の期待には応えられないよ」
 だから着替えておいで、と言いたい。朝から無駄にパイロットスーツ姿なグラハムに。

 朝の日差しを反射する白いパスロットスーツは、寝不足気味の目には少々きつかった。ビリーは目を瞬かせながら言った。
「仕上がりはもう少し待って貰いたいな」
 しかし、グラハムは人の話など聞く耳を持たない。
「ふん、謙遜するなカタギリ」
 ビリーの台詞を鼻で笑い飛ばすと、不敵な笑みを滲ませる。
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