献上小説置き場2

□未来へようこそ!
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「え〜と…………何?これ」
 
ツナは部屋のドアを開けるなり、そう呟いた。
 
 
 
 
 
部屋でザンザスとまったりしていたツナ。
ベッドの上でつかの間の2人きりの時間を過ごす。
 
ザンザスの仕事の休みとツナの学校のない日が重なる事は滅多にない。
だから、こんな日はすごく貴重なのだ。
下手に出かけるより家の中の方が2人きりの時間を満喫出来ると考え、こうしてツナの部屋で過ごしていた。
ランボ達には、2階に来ないようにときつく言っておいたから多分大丈夫だろう。
 
 
「のんびりするってやっぱりいいね〜」
 
「あぁ」
 
ツナを後ろから抱きしめるようにして座るザンザス。
邪魔者もいないし、愛しい者がこの手の中にいる。
これ以上の幸せはない。
 
 
だが、その幸せな時間もあっさりと崩れ去った。
 
 
「ツッ君〜、ちょっとお買い物行ってくるから、ランボ君達をお願い〜っ」
 
「え?!」
 
ツナは慌ててドアを開けて1階へ向けて叫ぶ。
 
「母さんっ、今日はそういうのはなしって……」
 
「ごめんね、カレーなのに肝心のルーがなくて…すぐだから、お願い」
 
「…………わかった…」
 
母のカレーは確かに美味しいから、少しくらいはランボ達を見てるのも仕方ない。
ツナはザンザスに断りを入れ、階段を下りて行った。
 
 
 
 
一方、かなり不機嫌なザンザス。
当たり前だ、恋人との甘い時間を邪魔されたのだから。
 
ザンザスは1階へは行かない。
ランボ達が彼の顔を見ただけで泣き叫んでしまうからだ。
 
 
「…………」
 
する事もないので、特に眠くもないが一応仮眠でも取ろうかとした時、突然部屋の中央が煙に包まれた。
敵襲かと思ったが、この煙は見た事がある気がする……。
 
 
煙が晴れると、黒髪の少年が目を見開いて立っていた。
 
 
 
 
「……ここは…?」
 
イタリア語でそう言う少年。
 
ザンザスは、彼に見覚えがあった。
というか、間違いなく……
 
「テメェは……」
 
「あ?」
 
少年はザンザスの方に気づき視線を送る。
顔は傷跡だらけで目つきも悪い。
 
「テメェ誰だ?」
 
少年が警戒しながら尋ねる。
 
ザンザスは、確信を持って言った。
 
 
「おまえだ」
 
 
 
 
 
 
そう、その少年とはなんと、子供の頃の自分だった。
おそらく10年程前、14歳の時だろう。
 
子供ザンザスはザンザスを睨みつける。
 
「テメェ…ふざけてんのか?」
 
「わかってんだろ?テメェも」
 
「………」
 
子供ザンザスも、薄々気づいてはいた。
目の前の男は確かに、自分に似ている。
傷跡には覚えはないが、髪は黒いし、何より緋色の瞳。
 
だが、ありえない。
未来の自分が目の前にいるなんて……。
 
 
 
ザンザスは結構驚いたが、よくよく考えてみれば10年バズーカがあるのだ、こんな事もなくはないだろう。
 
それにしても、懐かしい。
まだ自分の出生の秘密を知らず、ボンゴレ10代目になるため、強くなるためにただ力を求めて突き進んでいた頃。
 
 
ザンザスは過去の自分になんとか今の状況だけを説明し、子供ザンザスもようやくここが本当に未来なのだと納得した。
 
 
「……で、テメェが10年後の俺だとして、何で日本にいる?しかもこの狭っくるしい部屋は何だ」
 
「ハッ、ホントにガキだな。今日は休日だって言っただろーが。行くトコなんて決まってんだろ」
 
「女…愛人か?」
 
自分にはまだいないが、24歳ともなればそんなのも出来てくるはずだ。
だが、未来の自分は鼻で笑い飛ばした。
 
「愛人じゃねー、恋人だ」
 
「恋人………」
 
なんだかむず痒い響きだ。
だが日本の…しかもこんなに狭い家に住んでいる女とは、一体どんな奴だろうか。
 
子供ザンザスは椅子に座ると、しばらくしたら戻ってくるという未来の恋人を待つ事にした。
 
 
 
 
 
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