献上小説置き場2

□未来へようこそ!
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「ザンザス、お待たせ!全く母さんったら…………え〜と…………何?これ……」
 
ツナはドアを開けたまま固まってしまった。
 
いや、普通そうなるだろう。
部屋に1人で待っているはずの恋人が、1人ではなかったのだから。
 
しかも椅子に座っているのは少年。
それに、誰かさんに似すぎている。
 
 
ツナが次に何かを言う前に、子供ザンザスが口を開いた。
 
「おいテメェ…まさか恋人って……」
 
「あぁ、コイツだ」
 
ザンザスはニヤリと笑って平然と答える。
子供の自分が驚くのは当たり前だ。
自分だって、少し前まではまさか男を好きになるとは思っていなかったのだから……。
 
「お…男じゃねーかっ!!」
 
子供ザンザスはツナを指さして叫ぶ。
確かに目は大きいし小柄だし可愛らしい顔をしているが、男だという事は一目瞭然だった。
 
 
「ザ…ザンザス…?」
 
黙っていたツナが恐る恐るザンザスに話しかける。
だが、少年の方も振り返った。
もちろんだ、彼もザンザスなのだから。
 
「あぁ、こいつはどうやら過去から来た俺らしい」
 
「って事は……やっぱりザンザス?!」
 
ツナは突然ハイテンションになったかと思うと、子供ザンザスに飛びつく。
これには両者驚きだった。
 
「やったーっ!子供の頃のザンザスに会えた――っ!!嬉しい――っ!可愛い〜っ!」
 
「なっ……」
 
抱きつかれた子供ザンザスはしばらく言葉を失うが、何故かそのぬくもりが少し嬉しいなんて思ってしまった。
 
 
だが、それに黙っているザンザスではない。
 
「……おい…」
 
そのどす黒いオーラに気づき、ツナはハッとして子供ザンザスから離れた。
 
「ご、ごめんザンザス……あんまり可愛かったからつい…」
 
そしてもう一度子供ザンザスに向き直り、自己紹介した。
 
「はじめまして、子供のザンザス。俺は沢田綱吉です」
 
「……沢田…綱吉…」
 
子供ザンザスも、覚えたての日本語で挨拶する。
 
「俺はザンザスだ」
 
そのなまり具合がまた可愛くて、ツナは思わず笑顔になる。
その瞬間、子供ザンザスは全てを理解した。
 
未来の自分が綱吉を好きになった理由がよくわかる。
だって、今の自分ももう………
 
 
子供ザンザスは、ニヤリと笑うとツナにぎゅう〜と抱きついた。
大体同い年だが、やはり子供ザンザスの方が大きい。
それでも今の彼と比べると可愛い訳で。
 
「っザンザス可愛い〜っ!」
 
ツナも思わず抱きしめ返してしまった。
 
 
そこに、我慢の限界を超えた大人が割って入る。
 
「テメェ……いい加減綱吉から離れろ!」
 
「ハッ、綱吉は子供の俺が可愛いってよ?テメェはもう用済みなんだよ」
 
「わからねぇのか、ガキ扱いされてるだけなんだよ、このクソガキ」
 
互いがツナを引っ張り合い、睨み合う。
 
 
 
そこへ、今まで姿を見せなかったリボーンが銃声でその騒ぎを鎮めた。
 
「テメーら、うるせーぞ」
 
「リボーン!今まで何処にいたんだよっ」
 
「ちょっとな。それより、そいつが来た原因がわかったぞ」
 
「え?!」
 
リボーンの話によると、今の時代でスカルが妙な実験をしていたらしい。
どうも空間や時空についてだとか……。
 
「じゃあそのせいなんだ、子供のザンザスが来ちゃったのは」
 
「だな。だがスカルの奴をシメてきたから、もうすぐ子供のそいつは元いた時代に戻るだろ」
 
「えっ……」
 
そう言ったのはツナではなく子供ザンザスだった。
だって、まだここにいたい。
 
「綱吉……」
 
普段は絶対にしない、捨てられた子犬のような目。
まだあどけなさの残る顔なのでツナから見ればそれば悶える程可愛い。
 
「ザンザス……俺も寂しいけど、きっとまた会えるから、それまで待ってて?」
 
「……あぁ」
 
そしてザンザスが止める間もなく、子供ザンザスはツナにキスをした。
 
次の瞬間、煙が立ち込めて彼は帰って行った。
 
 
 
 
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