献上小説置き場2
□最高のプレゼント
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「明日、王子の誕生日なんだ」
「……………」
冷や汗が、流れた。
獄寺隼人、ただ今悩み中。
別に思春期だからではない……いや、ある意味そうかもしれないが。
「獄寺君?」
ツナが話しかけると、獄寺はやっとここが教室である事を思い出した。
「10代目…」
「大丈夫?何か元気ないけど」
「い、いいえっ!大丈夫、この通り元気です!!」
二カッと笑うと、やっとツナも笑顔になった。
そこで獄寺は言い辛そうに「あ、あの、10代目…」と言う。
「ん?何?」
「その…ご相談したい事が…」
「えっ?獄寺君が俺に?!うん、俺で良ければ聞くよ!」
普段彼からの頼み事は滅多にないので、ツナは嬉しそうに頷いた。
一応、屋上に移動する。
ちなみに山本は部活のミーティングでいなかった。
「で?相談って?」
「いえ…その……実は知り合いが今日誕生日でして…」
「あぁ、ベル?」
「なっ……」
ツナは笑って「隠さなくてもいいよ〜」と言った。
獄寺はばつが悪そうな顔で頷く。
「…昨日、誕生日だと言われまして……言ったからには何か欲しいのではないかと…」
「うんうん」
嬉しそうなツナに、獄寺は慌てて「べ、別にアイツの為とかではなく、やはりヴァリアーもボンゴレなので今後の関係に支障をきたさない為にもそこそこの付き合いはしておかなくてはならない訳で……」と言い訳にもならない言い訳をした。
ツナは相変わらずだなぁと苦笑する。
彼は素直になれないだけで、もうすっかりベルの事が好きなのだ。
「じゃあさ、自分が貰って嬉しいものをあげたら?」
「俺が貰って嬉しいもの………右腕の座、ですかね?」
「ち、違くてっ。てかそれは目指してるものでしょ?!」
ツナは「あーもうっ」と頭をかく。
「俺が思うに、獄寺君が素直になって考えれば、わかるんじゃないかな?」
「素直に…?」
「獄寺君は、自分の誕生日に何が欲しい?」
「それは……」
そこでツナは獄寺の前に手を出して、続きを止めた。
「ストップ。後はベルに直接、ね?」
「………はい…」
去っていくツナを見て、そのかっこ良さに感服する獄寺だった。