献上小説置き場2
□まさかの性転換
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「ねぇ、みんなが女の子になっちゃったらどうなると思う?」
始まりは、京子のこんな一言だった。
ツナ、獄寺、山本は今まさに、その言葉の被害にあっていた。
京子の提案でリボーンがボンゴレの科学班に作らせたバズーカ、その名も性転換バズーカ。
撃たれた者は元の性と逆になってしまうのだ。
つまりは、男が女に、女が男に。
まだヒヨっ子の3人がリボーンの銃から逃れられるはずもなく、見事に性転換バズーカをくらってしまった。
「「「……………………」」」
3人は思わず顔を赤くした。
明らかに、下半身のものがなくなって代わりに胸に何かついている。
「成功、だな」
そしてリボーンは写真をバシバシ撮り始める。
「リボーン?!何やってんだよ?!」
「安心しろ、発案者の京子に見せるんだ」
「安心出来ないよ!」
リボーンはどこから用意したのか、女性用の服を引っ張り出してそれぞれに渡した。
ツナには京子が着ていそうなフワフワ系、獄寺にはちょっぴりゴスロリのような黒めの服、山本には大人の女性用の身体のラインが強調されるようなものだ。
もちろん、3人に拒否権はなかった。
「よし」
「え、もういい?」
ツナは脱ごうとしたが、止められた。
「違ぇ。多分、もうすぐ客が来るぞ」
「客?」
「あぁ、コイツを送っといたから……」
そこでリボーンの携帯電話が鳴った。
「俺だぞ」
『おい、これはどういう事だ』
ザンザスからだったのだが、ツナ達には電話の向こうの声は聞こえなかった。
「面白ぇだろ」
『合成か?』
「ハッ、俺を誰だと思ってやがる。んな事するか。正真正銘、こいつらの身体だ」
『……………』
「ちなみに沢田家だ」
『わかった』
意外と短く、リボーンは通話を切った。
そしてニヤリと笑う。
「リボーン?今のは…?」
「気にするな、仕事の話だ」
「嘘だ!だって沢田家って…」
まさか彼らを呼んだのか?!とツナと獄寺は息を飲む。
「リボーンさんっ、俺はもう失礼します!」
獄寺は立ち上がる。
こんな姿をベルに見られるなんて、冗談じゃない。
「ほぉ、それは残念だな。仕方ねぇ、それじゃこの写真をおまえの知り合い全てにばら撒くしかないか」
「なっ…」
しかもリボーンが手にした写真にはツナのものもあり、ツナは獄寺にすがるような目を向けている。
「………おとなしくしてます…」
自分だけならまだしも、尊敬する10代目が笑いものになるのは許せなかった。
いや、笑えない程似合っているのだが。
そこへチャイムの音が。
「来たな」
「ちょっ、早くない?!」
「ヴァリアークウォリティーだ」
「適当だなオイ!」
すると先程まで黙っていた山本がいきなり立ち上がり、玄関へ向かった。
「山本?!」
「スクアーロが来たのな!」
「は?!」
実は山本、先程からメールのやり取りをしていたのだ。
もちろんスクアーロと。
だから静かだったのだ。
ツナと獄寺も慌ててその後を追った。
ドアを開ければ、予想通りの3人が立っていた。
「ザ、ザンザス……」
「……………」
一瞬黙りこくったザンザスは、突然ツナを抱き上げると靴のまま上がり込み階段へ向かった。
そして「カス、ベル、来たらカッ消す!」と残した。
もちろん2人も、わざわざそちらへ向かう事はしない。
「隼人、家帰るよ」
「はっ?!」
真っ先に笑われるかと思った獄寺は、思わず声を裏返した。
ベルは至って真面目に手を引いている。
だが安心したのもつかの間、ベルは歩くペースを速くし、言った。
「そんな隼人を見て王子が黙ってる訳ないじゃん!とにかく2人きりになろう!」
「なっ……バカっ、離せ!!」
だが離れない。
いつもは手加減されていたのかと思うと腹が立つ。
……離れないが。
「よっ、スクアーロ」
「武…………よし、ヴァリアー邸に行くぞぉ」
「え?でもこの格好……」
女装してるんだけど、と言いそうになり、そういえば身体も女性になったのだと思い返す。
「とにかく行くぞぉ!」
「ウチじゃないのな?」
「剛がいるだろぉ」
「まぁ、いるけど」
いたらまずいのか?と首を傾げる彼は、そうとうの天然だ。
スクアーロはへタレを抑え、少し強気に山本を連れて出て行ったのだった。