献上小説置き場2

□恋の勝負を仕掛けましょう
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「はぁ〜……ったく、何なんだアイツは……」
 
ヴァリアーは気に入らない。
出てきたばかりなのに人気だってボンゴレに負けないくらいあるし、態度も横柄だ。
それに何より、尊敬する10代目をたぶらかして奪い取った。
CD売り上げランキングで抜かれるより許せない。
 
 
「でも俺は10代目について行くって決めたんだ。だからあの方が誰と付き合おうが関係ねぇ、ただ信じていればいいんだ」
 
自分に言い聞かせるように呟き、獄寺は咥えていた煙草に火をつけた。
 
 
 
 
「気に入らねー」
 
「っ??!!」
 
気づいて振り向けば、ベルが立っていた。
 
「なっ……テメッ……」
 
思わず煙草を落としてしまい、慌てて踏み潰す。
 
「途中で抜けちゃダメじゃん、隼人」
 
「テメェがいるからだろ!」
 
「何で?」
 
獄寺はため息をつき、2本目の煙草を吸い始めた。
 
「……悪いが、俺はヴァリアーが嫌いだ」
 
「沢田綱吉をとられたから?」
 
「テメッ……聞いてたな」
 
「聞こえただけ。何、隼人アイツの事好きなの?」
 
「俺は10代目を尊敬してるだけだ、あのザンザスのような邪な気持ちはねぇ」
 
するとベルは二カッと笑い、良かったぁ〜と言っていきなり獄寺に抱きついた。
 
「なっ?!」
 
「良かった、俺てっきり隼人はアイツの事好きなのかと思ってたから」
 
「お慕いしている」
 
「でも尊敬って意味で、だよね?だったら王子頑張っちゃお〜っ」
 
「テメェも10代目狙いだったのか?!」
 
そんな会話の中でも抵抗して腕を振りほどこうとするが、出来ない。
意外に力が強いのにさらにイラッとする。
 
「違う違う、王子は隼人一筋だし〜」
 
「………テメェの冗談に付き合ってる暇はねぇ」
 
「冗談?」
 
ベルは一旦獄寺を離すと笑顔をひっこめ、真面目な顔になった。
 
「王子、冗談でこんな事言わないし、こんな事もしないし」
 
「っ………」
 
獄寺は思わず息を飲む。
いつもニヤニヤ笑っているイメージしかなかったから、こんなに真面目なベルの顔は初めて見た。
というか前髪で目が見えないから、口元と雰囲気で判断するしかないのだが。
 
 
「……で、俺がおまえを好きになるとでも?」
 
「なるよ〜っ。だって俺王子だもん」
 
「は?」
 
「俺が王子で、隼人が姫だから」
 
「俺は男だ!」
 
「知ってるし」
 
「っっ………」
 
何故だろう、コイツと話すとまともな会話が出来ない。
 
獄寺は煙を吐き出すと、打ち上げの場に戻ろうとした。
それをベルが腕を掴んで引き戻す。
 
「何を……」
 
「隼人、王子の事なめないでね?絶対好きにならせるから」
 
「だからその自信が何処から……」
 
その時、隙をついたベルが獄寺のおでこにチュッとキスをした。
そしていつも以上に歯を見せて笑う。
 
「しししっ、俺の事好きって認めたら今度は口にしてやるよ」
 
「だっ………誰がテメェなんか好きになるかぁ〜〜〜っ!!!!」
 
 
 
恋の勝負が、今ここに幕を開けたのだった。
 
 
 
 
 
 
 
 
一方ツナ達は。
 
 
「乾杯〜っ」
 
ヴァリアーのマネージャーであるルッスーリアがテンションを上げまくっていた。
 
「ちょっと、何ライバルチームと群れてるの?」
 
ボンゴレの所属する会社の社長、雲雀恭弥も嫌々いた。
 
「まーまー、いいじゃねーか恭弥」
 
そう言うのは、ヴァリアーの所属する会社の社長、ディーノだ。
実はこの2人は知り合いで、雲雀がヴァリアーにだけは負けるなと言っていたのはディーノがいたからなのである。
 
「クフフフフ、全く見苦しいですね」
 
怪しく笑うのは、ボンゴレのマネージャー六道骸。
ちゃっかりお菓子セットのチョコレートばかり食べている。
実は甘党なのだ。
 
 
 
「ど…どうなるんだろう、これから…」
 
ザンザスの腕の中で1人、先を案じるツナだった。
 
 
 
 
 
 
 
 
→後書き
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