献上小説置き場2
□放課後ハプニング
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「悪いな」
「ううん、いいの。聞いてくれただけでも……ありがとう」
この校舎裏で、また1つの恋が終わった。
「獄寺君、お疲れ様」
ツナが教室に戻って来た獄寺を迎える。
山本も一緒だった。
「よっ、モテるなー獄寺」
「うっせー」
2人共、獄寺が何処で何をしていたか知っている。
隣のクラスの女子に告白されていたのだ。
以前、獄寺がラブレターを捨てているのを目撃したツナ。
聞くと、過去何枚かそうして読まずに捨てていたらしい。
それではダメだ、せめて話だけでも聞いてちゃんとケジメつけてあげようと言うと、「10代目がそう仰るなら!」と、それから獄寺は呼び出しを受けるようになったのだ。
もちろん、告白に頷く事はないのだが。
「全く、せっかくの昼休みに…」
「でも偉いね獄寺君、ちゃんと告白聞いてあげて」
「10代目のご命令ですから!」
キラキラした目でそう言う獄寺に、ツナは苦笑するしかなかった。
一方、獄寺の住むアパートに居候しているベル。
今日は非番だったので、1人のんびりしていた。
「ん〜〜…暇〜ぁ。早く隼人帰って来ないかな〜」
ソファーにゴロンと横になり、ずれた王冠をちょいと戻す。
「……ん…?」
視界に気になる物が。
ゴミ箱と棚の間に、何か挟まっていた。
起き上がってそれを拾うと、なんと手紙だった。
しかも獄寺宛のラブレター。
「………………」
容赦はしない。
封を開けた。
…というか、封が切られていなかったという事は、本人も読んでいないのだろう。
中身は、ありきたりな文で構成されていた。
好きだとか付き合いたいだとか、転入してからずっと見てましただとか。
おそらく、ゴミ箱に捨てたつもりが、ずれてゴミ箱と棚の隙間に挟まってしまったのだろう。
となると、気になるのはゴミ箱の中。
ベルはガサガサとゴミ箱を漁る。
すると、3枚ものラブレターが出てきた。
そのうち上の方に捨ててあった2枚は開封されている。
つまりは、読んだのだろう。
「ふ〜ん……王子がいるってのに、いい度胸じゃん」
手紙を渡す女共も、こんなくだらないものをわざわざ読む恋人も。
「………あ、そうだ」
ベルはふとある事を思いつき、ニヤリと笑う。
そしてバタバタと獄寺の部屋へ駆け込むのだった。