献上小説置き場3

□密かなお見舞い
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本当に不覚だと、そう思ったんだ。
 
 
 
 
「う〜…」
 
マーモンはベッドで唸っていた。
原因は、風邪。
最近気温の変化が激しく、仕事で暑い外へ行ったかと思えば帰って来たらクーラーのガンガン効いた部屋でのんびり過ごす。
そんな生活を繰り返していたマーモンはついに、熱を出してしまったのだ。
 
 
 
「大丈夫〜?マーモン」
 
「ルッス……?うん…とりあえず…」
 
ルッスーリアがお粥を持ってくる。
ついでに水と薬もあった。
 
「少しでも食べなきゃダメよ」
 
「ム……後で…」
 
今は本当に苦しそうだと判断したルッスーリアは、「じゃあ食べたくなったらでいいからちゃんと食べるのよ?もちろんお薬もね」と言い、仕事へ向かった。
 
マーモンが寝込んでしまった事で、ヴァリアーも忙しいのだ。
幻術でカバーしていたところを他でカバーしなくてはならないのだ。
 
守銭奴だがこんな時はやっぱり彼がいてくれなくては困ると、マーモンの必要性に気づくヴァリアーであった。
 
 
 
 
 
 
 
マーモンが眠ってからしばらくすると、窓がそっと開いた。
 
 
「……ん?寝てるのか?」
 
リボーンがマーモンの事をルッスーリアから知らされ、やって来たのだ。
だが当人はぐっすり眠っている。
 
「せっかく来たのにな」
 
普段は、会えば口喧嘩しかしない。
だからこそ、彼と2人なのに静かというのが不思議な感覚であった。
 
 
「ん〜……」
 
マーモンが苦しそうに身じろぐ。
目元までかかっている濡れたタオルがずり落ちた。
 
リボーンはそのタオルを洗面器に浸けてからしぼり、またマーモンのおでこに乗せる。
すると冷たいタオルが気持ち良いのか、少しだけ表情が和らいだ。
 
「チッ………早く良くなれ」
 
どうやらお粥も薬も手をつけていないらしい。
これでは治るものも治らないだろう。
 
心配に思いながらも、寝ているところを叩き起こすなど出来ないリボーンであった。
 
 
 
 
 
 
 
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