献上小説置き場3

□密かなお見舞い
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しばらくすると、マーモンの様子がおかしくなった。
苦しそうにひたすら「みず…」と繰り返す。
 
「水?飲みてぇのか?」
 
「うん…みず……」
 
するとリボーンは自分の口に水を含ませると、そのままマーモンの口に流し込んだ。
つまりは口移し。
 
「ん……」
 
コクンとマーモンの小さな喉が動く。
同じ要領で薬も飲ませた。
 
そしてまた、マーモンの表情が幾分か楽そうになった。
 
 
リボーンはタオルを交換しながら「気分はどうだ?」と尋ねる。
それにマーモンは「ずいぶん楽…」と目をつぶったまま微笑んだのだった。
 
 
 
 
 
 
 
 
「う〜…………」
 
マーモンが目を覚ますと、もう日が暮れる頃だった。
熱は微熱程度といったところか……だるさもなくなり、気分も悪くない。
 
 
「ん?」
 
見知った顔が、すぐ横の椅子で眠っていた。
 
「リボーン…?」
 
どうやら本気で眠っているらしい。
そしてふと、お粥はそのままだが水と薬がなくなっている事に気づく。
そういえば意識が朦朧としている中で、誰かが水をくれたような……?
 
「もしかして…」
 
リボーンが?
いやまさか、彼がそんな事をわざわざする訳が……。
しかし現に、ここまで足を運んで来ている。
 
 
「リボーン……」
 
普段は絶対言わない。
けれど、ここまで気分が良くなったのもきっと、彼のおかげだと思うから。
 
だから……
 
 
 
「……ありがと、リボーン」
 
ボソッと呟くと、マーモンは勢い良く布団を被る。
まるで照れ隠しをするように。
 
 
そして本当に眠ってしまった頃、リボーンがそっと目を開けた。
実はずっと起きていたのだ。
だがそれで正解だった。
まさか彼から感謝の言葉が聞けるとは……。
 
 
「次に会う時は元気な姿見せろよ」
 
そう言うと、窓から出て行くリボーンであった。
 
 
 
 
 
 
→後書き
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