献上小説置き場3

□完全無欠最強無敵
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「………ん……?」
 
山本は目を覚ますが、頭が少しくらくらしていた。
何故か身体も動かない。
 
 
「目が覚めたか?」
 
「……誰…?」
 
薄暗いが、声とシルエットで年上の男性だという事くらいはわかった。
そして、自分の置かれている現状も。
 
「………………」
 
「そう怖い顔をするな。君のお父さんが我々の要求を呑んでくれさえすれば、君に危害は加えんよ」
 
すでに危害ならくらっている。
縛られた手足は縄が擦れて痛いし、お腹も空いてきた。
何より、頭がくらくらする。
 
 
山本は気を失う前の出来事を思い出す。
確かツナや獄寺と別れ、1人で歩いていた。
そして黒い車の横を通り過ぎた直後、突然後ろから羽交い絞めにされて変な薬を嗅がされたのだ。
 
「……………」
 
悔しい。
ただ、悔しい。
こんな相手、本気を出さなくてもきっと倒せる。
自由に動く身体と、剣さえあれば……。
 
身体が動かないのは、縛られているからだけではない。
嗅がされた妙な薬……あれに痺れ薬のようなものが入っていたらしい。
頭がくらくらするのもそのせいだろう。
 
 
 
「では、しばらくそこにいてくれたまえ。おい、ちゃんと見張っとけよ」
 
最後は部下に向かって言い、謎の男は去って行った。
 
 
 
「……親父、心配してるだろーな…」
 
要求とか言っていた。
一体何だろう。
自分のせいで妙な要求を呑まないといいが…。
 
「………スク、アーロ……」
 
確か今日、会いに来ると言っていた。
せっかく久々に顔が見れると思ったのに…。
 
 
何も出来ない事の歯がゆさを感じながら、山本は唇を噛みしめた。
 
 
 
 
 
 
一方スクアーロは、すぐに部下を動かして例の寿司屋を調べさせていた。
やはり黒い噂は本当で、ヤクザが関与しているらしい。
今回の件もやはり、その組が仕組んだ事だった。
だが仮にもこちらはイタリア最強の暗殺部隊、日本の田舎のヤクザなど敵ではない。
 
問題は人質だけだった。
どこにいるか、なかなかわからない。
 
 
日が昇ろうとした頃、やっと部下から有力な情報が入ってきた。
山本が捕まっている場所はなんと、例の店の地下だった。
 
 
 
 
 
 
 
ヴァリアーの中でも、作戦を立てるのはスクアーロの場合が多い。
相手をよく調べた上で、いかに手際よく殺せるかを第一に考える。
 
だが、今回は違っていた。
相手の組は田舎者にしては大きく、銃も所持しているらしい。
にも関わらず、スクアーロは正面突破を選択した。
 
 
 
「う"お"お"ぉい!!小細工なんてしてんじゃねーぞぉ!!」
 
怒鳴り込みながら店にズカズカと入っていった。
 
「なっ…何だおまえ!?」
 
明らかに一般人ではないスクアーロに慌てる従業員。
どうやら働いている者達は組の者ではないらしい。
 
「おいおまえ!地下へ案内しろぉ!」
 
「ひっ……えぇと…ち、地下は立ち入り禁止となってまして……」
 
そこで、かっぷくの良い黒スーツの男達が現れた。
間違いなく、組の者だ。
 
「おまえは…まさか竹寿司の関連者か?」
 
「そうだと言ったらどぉするぅ?武が下にいんのはわかってんだぞぉ!」
 
「……………」
 
男達はしばらく携帯で誰かと話し、「下へ」と言ってスクアーロを案内した。
もちろん、罠に違いない。
上等だ。
 
スクアーロはおとなしく男達についていった。
 
 
 
 
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