献上小説置き場3
□完全無欠最強無敵
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帰ってみると、予想通り黒スーツの男達が店先に伸びていた。
「親父っ」
急いで中へ入ると、剛が店内を掃除していた。
どうやらチンピラが少々暴れたらしい。
「武!!」
息子の無事な姿を確認すると、剛は笑顔で駆け寄って来た。
「親父、やっぱり無事だったんだな」
「武こそ。心配したんだぞ」
そんな親子のやり取りを、スクアーロは一歩下がって見ていた。
剛は息子の頭を撫でると、スクアーロに笑顔で「スク坊、ありがとな!」と礼を述べる。
山本も「スクアーロ、ありがと!」と言いながら抱きついた。
「………………あ"ぁ」
本当に、無事で良かった。
実は少し不安だった。
もしどこかで失敗したらどうしよう、と。
万が一を考えてしまった。
でもやはり、彼はそんなに弱くはなかった。
当たり前、剣帝を倒した自分に勝った男だ。
これでもう心配はいらないだろう。
その後、例の寿司屋は消え、また平和が戻って来た。
数日後。
新しく出来た寿司屋がすぐに閉店となったという記事が地元の新聞に載っているのを見て、スクアーロは恋人の部屋でくつろぎながら苦笑した。
「…にしても、まさか武が誘拐されるとはなぁ……修行が足りねぇなぁ?」
「なっ…あ、あれは変な薬嗅がされて……」
「変な薬ぃ!?」
「ん〜〜…なんか頭がくらくらして…」
そこでスクアーロが山本の両肩を掴んで揺らす。
「何かされなかったかぁ!?武ぃ!!」
「な、何も…縛られただけだし…」
実際に縛られていたのは見ていたが、言葉で言われると何だか許せない。
「……やっぱり殺しておくべきだったかぁ」
「絶対ダメっ。日本じゃ大問題になるし、人殺しは良くないのなっ」
仕事以外は、なるべく殺さないでほしい。
山本がスクアーロの仕事を理解したのはごく最近。
もちろん冗談だと思ったり信じられなかったりしたが、それでも彼を嫌いになる事だけはなかった。
今の仕事を辞めてくれと言う程子供でもない。
受け入れて乗り越えるくらいでなくてはダメなのだ。
「でもさ、俺ら名コンビだな!」
「当たり前だぁ」
最高のコンビで、最高の恋人同士。
「今度スクアーロが誘拐されたら、俺が助けに行くのな!」
「多分ないとは思うがなぁ…そん時は頼むぜぇ、相棒」
「おうっ!」
大丈夫。
互いがいれば、怖いことなんてない。
乗り越えられないことなんてない。
そう、まさに………
完全無欠最強無敵。
→後書き