献上小説置き場3

□濃密初詣
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「あけましておめでとう!」
 
「あけましておめでとう」
 
2人が出会ってから初めて迎える正月。
日付が変わるとまず、山本とスクアーロは「あけましておめでとう」と言い合った。
 
 
 
「ハツモウデ?」
 
「あぁ!」
 
山本の部屋で年を越し、少し遅めに眠った。
そして朝起きて見ると、スクアーロの耳に飛び込んできた言葉が「ハツモウデ」だった。
 
山本はいそいそと何かの準備をする。
そして突然服を脱ぎ始めた。
 
「な"っ!?」
 
スクアーロは焦る。
そりゃあ彼女の裸は何度も見ている。
触れているしそれ以上の事もしている。
 
だが、昨日は何もせずに一緒に眠りについたのだ。
正直、理性がやばかった。
それで今彼女の身体を見て、襲わない自信がない。
 
山本はついにショーツ1枚になる。
ブラジャーはというと、寝る時は苦しいからしたくないといってしないのだ。
それが彼女の豊満な胸を作っているのかどうかは定かではないが…。
 
長くしなやかな足、細い腰、おまけに大きいが形の良い胸。
綺麗な背中は黒く長い髪で隠されている。
これほどにいい女が他にいようか。
 
思わず見とれてしまう。
 
 
そしてなにやら妙なものを着始めたかと思うと、手際よく着替えていく。
あっという間に、山本は着物姿になっていた。
 
 
「武、それは……」
 
「着物!スクアーロ、初詣行くのな!」
 
「だからその初詣って……」
 
「行けばわかるって!とりあえずスクアーロも着替えて着替えて」
 
「着替えてって……」
 
あれよあれよという間にスクアーロは初めて着物を着ていた。
そして羽織を着る。
 
 
「ふわー……スクアーロカッコイイのなー…」
 
髪は上の方で1つに結び、いわゆるポニーテールにする。
山本は目をキラキラと輝かせて着物姿のスクアーロを見ていた。
 
だが、スクアーロとしては山本の着物姿の方が気になっていた。
彼女に似合うのは明るいオレンジや黄色だと思っていたが、今着ている青もかなり似合っていた。
というか……色っぽい。
長い髪はアップされているが、髪先が肩や背中に少し垂れているあたりがなんともいえない。
そして白いうなじ、これはもはや凶器である。
 
 
「これでどうするんだぁ?」
 
「神社に行くんだっ」
 
「神社……」
 
って事は、この姿を他の野獣共にさらすのか……。
スクアーロは反対しようとするが、いつもの如く恋人の眩しい笑顔には勝てないのであった。
 
 
 
 
 
 
「スクアーロ、5円玉っ」
 
「5円?」
 
「こっから投げるんだっ」
 
「やっ…優しく投げろよぉ!下からそっと…つーか投げるなっ」
 
さい銭箱の前でそんなやり取りがあった後、屋台でまだ済ませていなかった朝食を食べる事にした。
 
 
「やっぱ定番のやきそばかなー」
 
「定番なのかぁ」
 
「あぁ!」
 
そしてやきそばの屋台を目指して山本が小走りに先を行く。
するとその隙に、彼女の周りを数人の男達が囲んでいた。
 
 
「ねぇ彼女、これから俺達とどっか行かね?」
 
「え?」
 
「うわ、マジ可愛いし!つかスタイル最高じゃね?」
 
そこへすぐに、どす黒い殺気が男達を射抜く。
 
 
「う"お"お"ぉい!俺のツレになんか用かぁ?」
 
「何だおま………ぇ……」
 
振り返った男の語尾が小さくなる。
そこには申し分なくカッコよく、尚且つ明らかに違うオーラを放つ銀髪の男がいた。
しかも睨みつけた目が半端なく恐ろしい。
 
 
「おっ…お邪魔しましたー…」
 
すごすごと去る以外に、彼らに選択肢はなかった。
 
 
 
「武ぃ、大丈夫かぁ?」
 
「ん?あぁ。あいつら暇だったんかな?」
 
「っ………」
 
状況を把握出来ていない天然な恋人にガクッとするスクアーロだった。
 
 
 
 
 
 
無事参拝も終え、帰路につく2人。
その間にもいろいろと、そりゃあ先程のような事が沢山あった。
とにかくもこの格好の彼女を1人にしてはいけないと学んだスクアーロであった。
 
 
 
 
 
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