CP,all

□この場所で
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世間じゃクリスマスという楽しいイベントで騒がしいのに、
このグランドにいるやつらにはそんなの関係ない。
走って、捕って、投げて・・・・・・打って。




長い時間が過ぎ、練習を終えた10人はとぼとぼ部室にむかって歩き出した。
一番前にいた田島が勢いよくドアを開けた。




「「メリークリスマス!!!」」



何が起きたのか分からず、
部室に入ろうとした田島他9人は呆然と立ちすくんでいた。



「先生、みんな動かなくなっちゃいましたよ?」




と言って慌てているのはマネージャーの篠岡。
その隣で何故かニコニコしているのが顧問の志賀。



「・・・どうして笑ってるんですか?」

「誰が最初に動くかなーと」



その声に気づいた花井が、篠岡と志賀の前まで来た。



「な、なんスか!!!」

「良いリアクションするねぇ、花井は」

「じゃなくて、これはいったい・・・」

「もしかして、クリスマスだから?」




花井と志賀の話に割って入ってきたのは田島である。
何事もなかったかのように、志賀が田島の方に歩み寄った。



「そのとおり。皆突っ立ってないで入っておいで」



招かれるままに全員、部室の中に入った。
ドアに1つ、リースが飾られているだけで
見渡す限り変わったところはなかった。



「なんか…呆気ねぇなぁ」

水谷がぼそっと呟いた。

「んー確かにねぇ」

たまたま隣にいた栄口が相槌を打った。




ドアに1番近いところにいる巣山がさっきから全く動かない。
心配した沖が声をかけた。



「巣山ぁ、どうした?」

「…あ、沖、何?」

「なんか魂がどっかいってたぞー?」

「巣山は影で苦労してるんだよ」

「うーん、西広に言われると納得し…っておい!!」



突然泉が大声を張り上げた。


「三橋と阿部がいなくね?」

「そういえば…」




8人があちこち見たが、部室にはいなかった。



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