CP,all
□昼休み,屋上にて―阿三編―
1ページ/2ページ
4時限目が終わり、弁当をカバンから取り出そうとした時、三橋のポケットの中で携帯がふるえた。
恐る恐るメールを開くと・・・
「あ・・・べくん?」
弁当と筆箱を握りしめて、田島に一言“食べてていいよ”と告げてから教室をあとにした。
*****
屋上に着くと、そこにはもう阿部がいた。
辺りを見渡したが、他に誰かいる様子はない。
三橋は阿部のいる場所へ走って行った。
「用事って・・・?」
阿部から視線をそらして言った。
「っ・・・。これ、この間お前が解いたプリント」
おどおどしている三橋にイラついたが、どうにかどならずにすんだ。
「10問中1問ってお前なぁ!!」
「ご、ごめんなさ・・・」
「シャーペン出せ。まずここから解説すっから」
「う、うん・・・」
一生懸命やっている三橋だが、一度やったことを覚えるのにかなり時間がかかる。
だから覚えてもらうまで、阿部は何度も同じことを教える。
「よし、それができたらこっちの式に代入して・・・」
「で、できた・・・」
「だんだん早くなってきたな。次もさっきと同じように・・・」
ほんの数秒だったが2人の視線が合った。
気づいてすぐにそらしたのは三橋である。
阿部はまだ三橋を見続けている。
問題の直しと格闘している三橋の表情を見て、おもわずふきだした。
「え、な、何?」
「いや、お前表情変わりすぎっ・・・!!」
「ひ、ひどいよ!笑うこと・・・・・・」
「ん?どうかしたか」
黙り込んでしまった三橋の顔を覗き込んだ。
すると、三橋のお腹がぐぅーっと鳴った。
「なるほど・・・そういやぁ昼飯まだだったな」
「終わったから・・・食べても、いいよ、ね?」
「食うか」
相当お腹がすいていたようで、三橋はあっという間に弁当をたいらげた。
.