CP,all

□黄金週間には
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ゴールデンウィークが暇だったのはいつまでだっただろうか。
多分、それは中学に入学する前までだ。


あの頃は、休みになれば誰かしらと一日中遊んでいた。
それがゴールデンウィークともなれば、必ずどこか遠くに連れて行ってもらってた。

でも、もうそんなことはないだろう。
だって、今は土日ですら一日も休みがないんだから。





「去年も全部部活だったよなー」

「うん。あん時は体鈍ってたから、ちょっと辛かったよ」

「だからフライ落とすんだよ」

「え、栄口・・・酷くね?」




懐かしいね、って話じゃないの?と言って水谷は栄口を見た。
水谷は自分がからかわれていることに気が付いていないようだ。




「ぷっ・・・やば、水谷」

「は?!ちょ、何で笑うんだよーっ!!」

「だって、その顔は・・・っくく」

「さ、栄口の馬鹿ぁー!!!」

「ご、ごめん・・・っはぁー、ヤバかった」



必死に笑うのを堪えて、栄口は一度深呼吸をした。




「あのさ、俺・・・今年の合宿は栄口の隣で寝るから」

「・・・っ?!」

「だって、後輩達に栄口の寝顔見られたくないもん」

「な、何言って・・・んっ」




彼ら以外、誰もいない部室で水谷は栄口の唇を奪った。
栄口を喋らせないように、角度を変えて何度もそれをした。
抵抗しようとすれば、肩をグッと掴んで阻止した。





「・・・分かった?」

「恥ずかしい奴ってことはね」

「ったく、素直じゃないとこも好きだよ」

「・・・馬鹿」





顔を真っ赤にして栄口は俯いた。
今顔をあげてしまったら、水谷が笑いだすのが目に見えていたから。




「あーぁ、やっぱ休み無しは辛いよ」

「仕方ないだろ。でもさ」

「ん?」

「俺は毎日水谷に会えるから良いかなって・・・」

「さかっ?!」




今度は水谷が面食らう番だった。
夢じゃないかと思って頬をつねってみたが、どうやら現実だったようだ。
熱が顔に集中していき、あっという間に赤くなってしまった。



一方、栄口はというと言ったあとすぐに部室を飛び出した。
自分が言ってしまったことを後悔しながら。





たとえ休みがなくても、彼らにはきっと輝かしいゴールデンウィークが訪れるだろう。


良くも悪くもできるのは彼らだけ。







*あとがき*
―――――――
2人共、高2という設定で読んでくださればよろしいかと。
ゴールデンウィークが今日までってことは気にしないでください。
途中まで夜中に書いてたので、ちょーっと怪しいところがあります・・・。
恥ずかしいこと言い合って、お互い赤面してればいいと思う(ぇ
うちの学校の野球部も遠征だー言ってたもので。
→08.05.06

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