CP,all

□ミックスジュース!
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その日は、化学室の掃除当番だった。

掃除が終わり、今日は部活がないから早く帰れると思いながら
廊下を歩いている時に水谷は突然あることを思い出した。





『化学室に傘忘れた・・・』




傘立ては教室の中にあるため、室内まで持っていかなくてはならない。
だから、さっき掃除に行く時に持ってきたのだ。



『取りにいかねぇと・・・雨、降ってるし』



面倒だとは思ったが、傘がないと濡れてしまうので
水谷はしぶしぶ化学室へと向かって歩きだした。













戻ってきてみると、何やら怪しげな音が化学室の中から聞こえてきた。
掃除が終わった後すぐに施錠したのに、一体だれがいるのだろうか。
傘は廊下に置いてあったが、気になった水谷はこっそりドアの隙間から中を覗いてみた。




「あっ?!」

「あれ、水谷?」



化学室にいた人物を見た水谷が思わず声を漏らすと、
聞きなれた声が彼の名前(苗字)を呼んだ。




「栄口、な、何してんの?」

「何って・・・新しい飲み物の・・・」



パリンッ



栄口が言い終える前に、熱していた試験官が音をたてて割れた。
それと同時に、中に入っていた奇妙な色をした液体が机の上にこぼれた。
もう火が付いていないのに、その液体はぶくぶくとしている。
それから視線を逸らすと、目の前に赤くて綺麗な液体の入ったビーカーがあった。




「なぁ栄口、これは?」

「これ?これはさっき作ったやつだよ。飲んでみる?」



少し気になって訊いてみると、これも飲み物だということが分かった。
さっきこぼれたやつは体に良くなさそうに見えたが、
これなら平気かなと思った水谷は栄口のいうとおりにすることにした。




「じゃあ、少しだけ」

「どーぞどーぞ」



栄口はニッコリと笑って、水谷にビーカーを渡した。
まさか、この液体があんなものだとは知らずに水谷は一口、それを飲んだ。




「・・・っ?!ぃ。いぎゃぁぁぁ!!!し、舌ぁぁ?!!」



普段の水谷からは決して聞くことのない声が、化学室、いやその階に響き渡った。
一方の栄口はというと、未だに笑っている。




「大丈夫、水谷?」

「さ、さかぁ・・・!!こりぇ、にゃ、にが?!」


舌がヒリヒリしているらしく、うまく喋ることができない。



「え?アセロラと●●と××と▲▲と・・・」

「ぎゃあぁぁぁ?!?!」



どう考えても入っていたらおかしいものを次々と言われて、
水谷は叫ばずにはいられなかった。


だが栄口は何事もなかったかのように、再び何かを混ぜ始めた。
それはそれは、口にできないような恐ろしいものを。





ミックスジュース!

(それ、さ・・・誰に飲ますの?)(部員全員だけど?)(や、やめてください!!)







*あとがき*
―――――――
甘さなしのオールギャグにしてみました。久しぶりにギャグかけましたよ。
この栄口、黒栄口よりも怖いとか思ってしまったのは私だけでしょうか・・・?
文貴と一緒に悲鳴をあげたくなりましたもん!!!(ぉ
ありえない話を書くのが大好きです(ぇ)良い子は栄口のマネをしないでください;;
あ、どうして栄口が化学室に入れたのかは気にしちゃいけませんよ?←
→08.07.04(再UP,08.07.23)

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