CP,all

□坂道で君と
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焦っちゃダメだ。
ここでしくじったら、あとでどうなるか分からないから。
だからゆっくり進んでいかなくちゃ。




「さっかえぐちーっ!!」



前方に栄口が歩いているのに気がついて俺は叫んだ。
まわりに誰もいなかったから、すぐにこちらを向いてくれる筈。
でなきゃ叫ばないもん。



「水谷か。どーした?」



俺の方を向いていつもの笑顔でそう言った。
一瞬、栄口を見て和んでしまったけど今は言いたいことがあるんだ。




「あのさ、今日一緒に帰らない?」



付き合い始めてから約1ヶ月経つけど、その間2人きりで帰れたのはたったの1回。
いつも野球部の誰かがいたからその回数なんだ。



「いいよ。久しぶりだよな」

「うわ、あ、うん!!」

「誘ってきた奴の反応かよ、それ」

「だ、だって、嬉しかったから」





素直にそう言ったら栄口は顔を赤くして、
荷物とってくるから、と言って走っていってしまった。
本当に可愛いな、栄口は。

栄口が来るまで、俺はその場所から一歩も動かなかった。














「今度もってこよっか?」

「ありがとー」



俺から誘って、帰っている時には何の変哲もない話をする。
それはいいことなんだけど、そろそろ・・・




「水谷?」

「うぇっ?!」

「何か暗いぞー?」




急に顔を近づけてきた栄口に驚いて、思わず変な声を出してしまった。
思いっきり裏返ったし。うわー、恥ずかしい。



「そ、そう?」

「うん。俺、どうしたらいいかな?」




どうしたらいいか、という言葉を聞いて言いそうになったことがある。




“キス、していい?”



この状況で言うことじゃないと思ったから俺は口を噤んだ。
それに、まだ早いと思った。
焦っちゃだめなんだ。この関係を壊さない為にも。



「だ、大丈・・・っ?!」





ガタンッ




唇に何かが触れた。柔らかくて温かい何かが。
その瞬間、俺はおしていた自転車から手を離してしまった。
坂をあがっている途中だったけど、自転車はその場で倒れた。



今のってまさか・・・



「ヘタレ水谷。キスしてくれんのまってたんだぞ」



そっか、栄口はまっててくれたんだね。気づかなくてごめんな。
そういう思いも込めて、今度は俺から唇を重ねた。





坂道で君と

(初めてキスをした)







*あとがき*
―――――――
今日、やーっとテストが終わったので家に帰ってきて40分くらいで書きました。
グダグダ・・・えっと、こんなファーストキスもいいんじゃないっすかね(ぇ
あくまでも私の考えなんですけど、初めて栄口からなんじゃないかなと。
ヘタレ!ってもっと酷く言わせようと思ったけど、あえておさえてみました・・・
変なシチュエーションでごめんなさい。もっと頑張ります、色々と;
→08.07.09(再UP,08.07.23)

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