CP,all

□寒さなんて忘れた
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寒いな、と思って電波時計に表示されている室温を見たら16℃だった。
最近急に室温が下がったな、なんて呟きながら準太はクローゼットからジャージを取り出した。
もうすぐテストがあるため、2日前から部活がない。
あまりにも悪い点を取ると、試合に出してもらえないので今必死に勉強している。
授業中殆ど寝てしまっているせいで、内容なんて頭に入っている筈もなく全く分からない。
ノートは辛うじてクラスメートに写させてもらっているからあるのだが、それを見てもやっぱり分からない。
もともと勉強が出来る方ではないが流石にこれはヤバイ。
どうして寝てしまったんだ、と自己嫌悪に陥っていると携帯が振動した。
その時間が長いことから電話だと気づき、準太は慌てて通話ボタンを押した。





「もしもし?」

『よぉ、久しぶり』

「し、慎吾さんっ?!」




誰からの着信か確認もせずに出た為、それが島崎からのもので準太は驚いて声が裏返ってしまった。




『お前驚きすぎ。そんなに嬉しかったか?』

「あ、いや、その・・・」

『可愛すぎんだよ、準太は』

「んなっ?!ちょ、慎吾さん!!」

『相変わらず良い反応すんな』

「か、からかわないで下さいよ」





これが電話で良かった、と準太は心底思った。
島崎に冷やかされたせいで顔が真っ赤になってしまっていたのだ。
体は相変わらず寒いのだが、顔だけは熱くて準太は手で扇ぎながら喋った。




『あーはいはい。あのさ、今からそっち行っても平気か?』



島崎は突然声の調子を変えてそう準太に訊ねた。




「大丈夫っすよ」

『じゃあ、すぐ行くから』




プツン・・・と電話が切れる音を聞いてから準太は電源ボタンを押して携帯を閉じた。
島崎が来るまでテスト勉強をしようと、再び机に向って座りシャーペンを握ってやり始めたのだが・・・分かる筈もなく。
再び自己嫌悪に陥りそうになった時、1階からあの音が聞こえた。
今日家には準太しかいなくて、彼が出なければ誰も相手に出来ない。
勉強道具はそのままにして、そそくさと玄関に向かった。



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